研究課題
基盤研究(A)
高圧力下物性測定においては、その静水圧性が物性に与える影響が大きいことが明らかになるとともに、より高い静水圧力を発生させることがより重要となってきている。これを達成させるために、本年度は、まずキュービックアンビル圧力発生装置を小型化し、直径80mm高さ85mmの装置を作製した。この装置を用いて、Biの電気抵抗測定を室温に置いて行ったところ、Biの持つ3つの圧力誘起相転移(I-II(2.5GPa)、II-III(2.7GPa)、IV-V(7.7GPa))を観測することが出来た。このとき、試料空間部分のセットは、従来型と同じ物を使用している。従って、この小型アンビルを用いることにより、従来と同じように高圧力を発生させることが可能となった。今後は、さらなる小型化および冷凍機の設計を行い、まずクランプ型圧力装置を開発し、冷却テストおよび物性測定を行っていく予定である。次に、Diamond Anvil圧力装置においては、1OGPa程度の圧力を室温に置いて発生させることが可能となった。本装置の高圧力下での静水圧性を調べるため、フロリナート、ダフニオイル、グリセリンの3つの圧力媒体を用いて加圧テストを行った。その結果、グリセリンが10GPa程度までより良い静水圧性を示すことを明らかにした。この装置を用いて、YbInCu4の高圧力下電気抵抗測定を行ったところ、3GPa以上で価数転移が消失するとともに、低温で強磁性磁気秩序に伴うと考えられる抵抗異常が観測された。この異常の起きる温度は、P=6GPa以上の圧力においても変化しなかった。以前観測された、圧力誘起超伝導は観測されなかった。今後、この原因について、静水圧性との関係を明らかにしたい。また、他の物質について測定を行っていく予定である。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
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