研究分担者 |
石本 英彦 東京大学, 特性研究所, 教授 (60044773)
辺土 正人 琉球大学, 理学部, 准教授 (00345232)
梅原 出 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (90251769)
繁岡 透 山口大学, 理学部, 教授 (50167441)
藤原 直樹 京都大学, 大学院・人間環境研究科, 准教授 (60272530)
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研究概要 |
本研究により,開発した外形φ80x85mm^3のPalmtopCubic圧力装置(総重量10kg)を用いて,圧力誘起超伝導体CeRhln_5の測定を6GPaまでの圧力下で行った。その結果,これまで報告されている圧力相図がほぼ正しいことを確認した。これまで報告では,抵抗の絶対値には信頼性がなかったが,本研究により抵抗率のT^2依存性の係数Aを各圧力下で決定し,圧力誘起の超伝導出現,およびより高圧下での消失と,その時の電子状態の変化の様子を明らかに出来た。さらに低温での実験を可能にするため,φ60x60mm^3のより小型のPalmtopCubic圧力装置(総重量5kg)を開発した。従来の装置より約半分の重量とより小型となったが,従来機と同様に100トンの荷重下で8GPa発生出来ることを確認した。現在本装置を希釈冷凍機に取り付け冷却テスト中である。 重い電子系物質YbCo_2Zn_20の圧力下物性測定を行い,本物質が1GPa前後の圧力下,約0.5K以下の温度で磁気秩序を示すことを発見した。1GPa前後の低圧領域で磁気秩序を示すYb化合物の物質例は初めてである。本研究によりYbCo_2Zn_20は,磁気秩序直前(量子臨界点直前)の物質であることを,磁気抵抗,比熱等の圧力依存性より明らかにした。また,常圧下で近藤温度が約1Kであり結晶場の大きさも同じ程度であることおよび電子比熱係数が圧力とともに増加し,1GPaでは,約12J/mol,K^2にも達することを明らかにした。 有機物質(TMTTF)_2TF_6(T=P,Sb)の圧力下電気抵抗を磁場中で行い,両物質の圧力誘起超伝導の性質について研究した。温度0.5Kまでの測定においては,H_c2はパウリリミットを超えることはなく通常の超伝導状態である可能性を指摘した。
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