研究課題/領域番号 |
16204025
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 正俊 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (40092225)
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研究分担者 |
小林 義明 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60262846)
安井 幸夫 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (80345850)
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キーワード | コバルト酸化物 / 超伝導 / 物質開発 / 核磁気共鳴 / 中性子散乱 / 強相関係 |
研究概要 |
(1)Na_xCqO_2・yH_2O(y〜1.3)の超伝導発現機構の進展、(2)honeycomb格子系Li_2RuO_3の新型相転移の発見、(3)LiVCuO_4というこれまでの系とは異なった特徴的系における磁気、強誘電同時(multiferroic)転移,さらには、(4)nontrivialな磁気構造を持つ系の異常ホール効果に関する詳細な議論等が今年度の成果の主な成果例である。 (1)Na_xCoO_2・yH_2Oの研究では、超伝導が新規なものかどうかを知るために、その磁気フラストレーションやCoのスピン状態変化(軌道励起)の役割の解明をめざし、銅酸化物に対する研究成果をガイドラインに、NMRと中性子散乱による詳細なデータをとってきた。特に、クーパー対がsinglet状態にあることを明快にしてきたが、さらに、転移温度鏡のNMR四重極周波数ν_Qに対するプロットによって得られた相図に現れた、超伝導相を真っ二つに分断する非超伝導相の起源が、電荷秩序の出現によることを明らかにした段階である。(2)Li_2RuO_3では、約540Kに相転移を発見し、それがRu-Ruの分子軌道の形成を伴った新型転移であることを構造決定等を通して明らかにした。つぎに、(3)LiVCuO_4系がいわゆるmultiferroic転移を持つことを、スピン1/2の簡単な系に初めて発見した。これは今後、この現象の理解に大きき寄与するものと期待される。(4)nontrivialな磁気構造を持つ系の特異な異常ホール効果は、理論的に提案されたカイラリティ機構との関連で大きな興味を引くものであるが、その提案の直接的きっかけとなったNd_2Mo_2O_7の特異な異常ホール効果(我々が発見した)が、カイラリティ機構では説明できないことを中性子磁気構造解析を通して明らかにした。カイラリティ機構が有効な系の有無は今後の課題である。
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