研究課題/領域番号 |
16204031
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
山本 喜久 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 教授 (60370102)
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研究分担者 |
根本 香絵 国立情報学研究所, 情報基盤研究系, 助教授 (80370104)
松本 啓史 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 助教授 (60272390)
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キーワード | 量子計算 / ユニバーサリティ / 光学非線形性 / 電磁誘導透過 / 半導体 |
研究概要 |
昨年までの研究成果である弱いが損失の極めて少ない非線形性を用いた新しいユニバーサルな量子計算の構成法は計算理論的なゲートではなく物理的な要請に着目したものであった。今年度はこの物理的な要請に基づいたゲートを計算の基本構成要素とした場合に、これらのゲートがどのように計算のユニバーサリティを満たすのかを、通常の理論ゲートと比較した。これにより、非線形性を用いた量子計算では基本構成要素は通常の理論ゲートと同じ計算能力を持つことを示した。さらにこの新しい方法の物理的なリソースの効率性を詳細に調べた。また、線形光学量子計算と比較し、線形光学量子計算では物理的な基本構成要素は通常のゲートと同等ではなく、ここに線形光学量子計算の特異性があることも示した。この結果は非線形光学性がいかに弱い場合でも、非線形光学量子計算は線形光学量子計算と物理的リソースの効率性の点で、本質的に異なることを示している。また、さらに、古典的なフィードフォワードによる効率化がどのくらいまで可能かを詳細に調べ、線形光学量子計算の限界を求めた。 この非線形光学量子計算をインプリメントするための素子の開発を昨年に続き進めた。今年度の主な成果は、1.多数の単一光子光源を同一波長で動作させるために、量子ドットをドナー不純物に束縛された励起子で置き換えた単一光子光源を開発した。2.モード体積が小さく、Q値に高いマイクロ共振器をホトニック結晶を実現した。3.単一のドナー不純物をマイクロ共振器に閉じ込めた系をコヒーレント状態でつないだ量子中継システムの提案を行った。また、各ノードの動作波長(0.4-0.8ミクロン)と通信波長(1.5ミクロン)を高効率でつなぐ波長変換技術をPPLN素子で実現した。
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