研究課題/領域番号 |
16204033
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体地球惑星物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松井 孝典 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80114643)
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研究分担者 |
門野 敏彦 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助教授 (60359198)
杉田 精司 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (80313203)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | ガラスレーザー / レーザー銃 / 衝突脱ガス / 炭酸塩岩 / 衝突蒸気雲 / 高速衝突銃 / 天体衝突現象 / 温室効果ガス |
研究概要 |
本研究計画では、大きく分けて2つの課題に取り組んだ。第1の課題であるレーザー銃の開発では、新規に導入した高出力レーザーを用いることにより、金属弾丸を約6km/sの速度まで加速することに成功した。この速度は、従来型の技術である二段式軽ガス銃の標準的な最高速度と同等である。また、飛翔体の速度がレーザー強度と飛翔体の柱状密度の比の平方根に比例して増加するという理論スケーリング則を実験的に実証することができた。このスケーリング則は、レーザーエネルギーの飛翔体運動エネルギー変換が効率的に起きていることを示すものである。これは、現状より大きなレーザー強度を与えれば、飛翔体の速度がさらに向上する余地が充分あることを示唆している。一方、レーザー銃は二段式軽ガス銃と異なり火薬の燃焼ガスなどの混入の危険がないため、非常に清浄な環境で超高速衝突実験ができる。この特長を生かして第2の課題である開放系での衝突脱ガス実験に取り組んだ。実験では、温室効果を引き起こすなど地球型惑星の表層環境の進化に大きな影響を与えてきたと考えられている炭酸塩岩からの衝突脱ガス現象に焦点を絞って行った。炭酸塩岩の脱ガス実験は1980年代から米国を中心に精力的に行われてきているが、いずれも脱ガス気体の逆反応が起こりやすい閉鎖系での実験であるために、実験結果の信葱性が疑われ始めている。本研究では、従来からよく実験に用いられている結品質の方解石を用い、金および銅の飛翔体を幾つかの厚さにして実験を行った。予備的な実験結果は、33GPa以上の衝撃圧力で脱ガス効率が飽和するというものであり、完全脱ガスが33GPa以下の衝撃圧で実現していることを強く示唆している。この結果は、従来の完全脱ガス衝撃圧が40〜50GPaであるというAkmcmsらの結果より有意に低く、天体衝突脱ガスが従来考えられてきたよりも高効率で起きうる可能性を示している。
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