研究課題
基盤研究(A)
1997年11月3日にチリで起きた地震(Mw=6.2)に対するCDSNの観測点ENH(Enshi)に表れている特徴的な地震波を理論地震波形で再現出来るかを調べた。この観測点は、震央距離179.4度と極めて対蹠点に近く、またこの地震は、マグニチュード6.2という規模であるために、その記録にはPKIKPやPKIIKPなどが明瞭に観測されている。ここでは、外核の最下部に厚さ約20kmでP波速度が約10%遅い層を入れたところ、例えばPKP(AB)等の走時に影響を及ぼすことなく、観測されたPKIIKPの振幅を再現できることが分かった。次に、地球内核の地震学的異方性構造を考慮した3次元地球モデルに対する理論地震波形記録を計算し、観測波形との比較を試みた。計算した理論波形ではPKIKP、PKP(AB)ともに観測波形と良い一致が見られた。走時残差を観測点ごとに詳細に検討すると、異方性構造を入れたことにより、PKIKPの走時残差は減少する傾向にあり、導入したモデルは大局的には正しい内核の異方性構造を示していると考えられることが分かった。しかしながら、残差は1秒以上残っている観測点があり、異方性構造の程度を大きくするか、あるいは深さ依存性についての再検討が必要であることが分かった。また、特に南太平洋下のCMBを通過する波線経路を持つ観測点では、Pdiffの観測波形が明らかに理論波形よりも遅いことが分かり、CMBに不均質構造を導入する必要があることが明らかになった。本研究では現在の地球シミュレータにより周期3.5秒の精度を持つ理論地震波形を計算できることが分かったが、やはり周期1秒の精度をもつ理論地震波形計算が実現できることが望ましい。全球規模の理論地震波形を周期1秒の精度で計算するためには、現在の地球シミュレータではメモリ量が足りず、現在の16倍の規模のシステムがあれば実現可能である。
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