研究分担者 |
渡部 重十 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (90271577)
倉本 圭 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (50311519)
小高 正嗣 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (60344462)
石渡 正樹 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助手 (90271692)
中島 健介 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (10192668)
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研究概要 |
前年度に引き続き,モデル群構築のための足回り的ソフトウェアツール群の整備と,ソースコードの可読性と可変性を高めるためのコーディングルールの整備を行い,これらの共通した基盤の上に非静力対流モデル(deepconv)と大気大循環モデル(dcpam)の構築を進めた.足回りソフトウェア群は,Fortran90プログラムのためのnetCDF形式ファイル共通1/0ツール(gt4f90io library)と力学コアのためのスペクトルモデル群(spmodel),RubyによるnetCDF形式ファイルのデータ処理ツール,同じくRubyによるソフトウェアドキュメンテーション環境である.これらの開発は本課題ならびに関係者で維持しているネットワークサーバー上に公開しながら実施した(http://www.gfd-dennou.org/library/dcmodel). 木星大気構造にせまる基礎実験としては,全球大気大循環モデルの力学コアを支える球面スペクトルモデル群spmodelの浅水モデルによって,回転球面乱流による角運動量再分配実験を実施した.系の自転角速度と重力波速度をパラメタする広範なパラメタ実験を実現し,散逸乱流による縞々構造の形成が乱流強度によっておおむね決まっていること,ならびに,強いジェット気流の形成は変形半径のエネルギーの逆カスケードにあたえる影響とロスビー波の伝播特性の緯度変化とによって赤道域となるか極域となるかが定まることなど明らかにした. 木星大気の鉛直成層構造に関しては,非静力学対流モデルに簡略な木星大気熱力学(雲モデル)を導入することがほぼ完成し,基礎実験を行うことができた.その結果,従来の平衡熱力学計算で予想されていたアンモニア・水・硫化物の鉛直分布とそれらによる三層の雲の分布とはまったく異なる,鉛直方向によく混合された物質分布と雲分布が形成されるという結果がえられた.この計算を検証するべくさらに大規模な計算の実施を検討することとなった.
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