研究課題
木星大気の循環構造の理解に迫るべく、複数のモデルを用いた数値実験の実行を進め、更に現実の木星の状況に近い設定の数値計算を行うために必要となる知見の整理を行った。木星大気の鉛直成層構造に関する数値実験として、これまでに開発を行ってきた非静力学対流モデルを用いて放射強制の値を変化させたパラメータスタディを実行した。放射強制の大きさを木星大気における現実的な値に基づいて設定した場合には、下部境界から対流圏界面の全高度領域で対流運動が見られる活発期と対流運動があまり生じない静穏期が周期的に繰り返されることが示された。活発期の継続時間は短く、計算結果のうちほとんどの時間帯は静穏期に対応していた。更に、活発期では対流運動は水蒸気の凝結高度を境に上下に二分され、静穏期ではアンモニア凝結高度が対流運動に対する境界として働いていることも示された。木星大気における深い対流構造に関する基礎実験として、球殻対流モデルを用いた、上層に安定成層を伴う高速に回転する球殻内の有限振幅熱対流の数値計算を行った。エクマン数が10^<-3>、プランドル数が1、内外半径比0.4の場合にレイリー数が臨界値の数倍程度において引き起こされる帯状流は赤道上端で順行流をとなる。しかし、レイリー数を臨界値の10倍程度にすると、成層安定度が強い時に赤道上端での帯状流が逆行流となること示された。強い安定成層の存在は赤道逆行流の生成を助長すると考えられる。全球規模の浅い構造に関する実験にとしては、前年度までの帯状構造生成実験の多層化をすすめた。より現実的な木星大気の数値計算へと進むために、木星大気で重要な吸収物質の種類、各物質の吸収特性に関する数値データの整理を行った。これらの数値を用いて、本研究課題で開発された大気大循環モデルによる数値計算を実行することは将来的な課題として残された。
すべて 2007 その他
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