研究課題
本科研費2年度目の今年は以下の調査を昨年に続き行った。1)新潟沖でユニブームによるシングルチャネル及び12マルチチャネル音波探査を行い、新潟平野の沖積層との対比を進めた。2)阿賀野川河口域での塩水遡上の調査を行い、あわせて河床堆積物を採取し、その粒度組成を解析した。3)新潟市鎧潟において沖積層を貫くボーリング掘削を行い、そのコア資料について堆積相の解析を行うとともに、年代測定を行った。4)ベトナム、メコン川における塩水遡上の調査を行った。5)ベトナム、メコンデルタのベンチェー省における水資源開発について、省人民委員会並びに開発公社と共同作業を進めた。1.昨年に引き続き、今年度も新潟沖、水深20〜90mの海域において音波探査を行った。今年度の測線は南北、及び東西で、総延長距離は100kmである。下位よりC層、B層(層厚10-15m:B2、B1層に細分)、A層(層厚15-30m : A2、A1層に細分)に区分される。累積性の断層が確認されたが、Al層は切られていない。2.10月、渇水期大潮を選んで、阿賀野川河口部で塩水遡上の調査を行った。昨年度の豊水期小潮の時期に比して、塩水遡上は河口から12km以上に及び、弱混合型の塩水くさびをとらえることができた。併せて、サイドスキャンソナーで河床の床形態や、河床堆積物の粒度分析結果から、河床における砕屑性粒子の運搬と沈積についての情報を入手した。3.新潟市鎧潟での129mに至る沖積層ボーリング掘削コアの堆積相は、下位から河川、塩水湿地、湖、潟、湾奥デルタ、塩水湿地を経て河川へと変化する。54試料から得られた14C年代は沈降速度の速い本地域での埋積曲線が得られた。引き続き、化学分析を継続中である。4.ベトナム。メコン川支流のコチェン川で、渇水期大潮に併せて塩水遡上の調査を昼夜連続で観測した。併せて、曳航式水質計、流向流速計などで水質及び流体の運動を測定した。その結果、塩水が河口から30km以上にわたって遡上する状況や潮の干満に伴う塩水の動態が明らかになった。5.砂緩速ろ過による浄水供給システムについて、ベンチェー省が高い関心を示し、人民委員会並びに公社との連携が深まり、新たな浄水供給システムの建設計画が進行中である。なお、上記の成果について、一部は公表論文として投稿中であり、また、一部は学会講演を行った。
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