研究課題
本科研費3年度の今年は以下の調査を昨年に続き行った。1)阿賀野川河口域での塩水遡上の調査を行い、あわせて河床堆積物を採取し、その粒度組成を解析した。2)ベトナム、メコンデルタ、チャービン省の海岸において、雨季と乾季における海岸地形と堆積作用について調査を行った。1.6月と8月の豊水期大潮時、ならびに10月と12月の渇水期大潮時に、阿賀野川河口部で塩水遡上の調査を行った。昨年度の豊水期小潮の時期に比して、豊水期大潮期はさほど大きな塩水遡上は認められなかったが、渇水期には河口から12km以上塩水が遡上し、弱混合型の塩水くさびをとらえることができた。2.上記調査に併せて採取した水の濁度を測定した。淡水・塩水境界面付近から下位の塩水の濁度の垂直ならびに側方への変化を解明した。一般的には、淡塩境界で細粒物がフロックを作り、濃集して、濁度が濃くなると考えられているが、測定の結果は淡塩境界より深くなるにつれて徐々に濁度が上がる結果が得られた。3.ベトナム、メコンデルタの海岸地域で、5月、8月、11月、さらに今年の3月の計4回にわたって、海浜地形と砕屑物の粒度や表面の形態(床形態)、ならびに水深・流速・流向の時間的変化を解析した。浸食海岸と堆積海岸における地形的変化と堆積物の粒度の変化が、雨季と乾季の沿岸流の方向と関連を持っていることが明らかにされた。なお、上記の成果について、一部は公表論文として投稿中であり、また、一部は学会講演を行った。
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