研究課題
本研究課題の最終年度に当たり、今年度は以下の調査研究に取り組むとともに、成果のとりまとめを進めた。1) ベトナム、メコンデルタの海岸地域における沿岸砂州の堆積作用を、モンスーン気候の海象条件における変化との関わりで明らかにするために、乾季あけの6月、雨季あけの10月、ならびに3月に現地での調査を行った。その結果、海象条件の変化に応じて、沿岸砂州が浸食と堆積を繰り返しつつ、全体として浸食傾向にある箇所と堆積傾向にある海岸の特性が大まかに把握された。2) 阿賀野川河口部における堆積作用を明らかにするために、豊水期並びに渇水期における塩水遡上、淡塩境界における水質、川底の細粒堆積物の分析と解析を行った。塩水遡上に伴い、細粒堆積物はその塩水くさびの先端に集められ、沈着するとともに、重金属類の濃集をもたらす機構が推定された。3) 7月16日に発生した中越沖地震の際に、出雲崎沖の陸棚海底に大量に出現した古木群の産状を音波探査によって明らかにするとともに、他研究機関で行われた^<14>C年代測定結果と樹種の鑑定結果をあわせ解析した。その結果、これらの古木群は縄文の温暖な気候下で新潟の山地斜面から渓谷沿いに繁茂していた森林が火山噴火に伴って大量になぎ倒され、海底に運搬された機構が復元された。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
植生史研究 (印刷中)
Sci. Rept., Niigata Univ., (Geology), 22, 57-78. 22号
ページ: 57-78