研究課題
基盤研究(A)
1.新潟平野西部の130mに達する沖積層コアの堆積相・古生物相解析、並びに54個の試料についてAMS法による年代測定を行った。その結果に基づいて、後氷期の海水準上昇に伴う開析谷埋積と平野の形成過程について、精度良く復元した。本地域の過去1万年間の沈降速度は約3mm/yrである。2.阿賀野川河口部における塩水くさびの発達状況の渇水期/豊水期など河川流量の変化に伴う変動、淡水・塩水の水質と懸濁物質及び河口部川底の堆積物の分析を行った。渇水期には河口から12km以上塩水が遡上し、弱混合型の塩水くさびをとらえた。河口部における微細粒子の挙動と沈積の機構についての貴重な成果を得た。3.ベトナム、メコンデルタのチャービン省バードン海岸で、雨季と乾季の海象条件の下で沿岸砂州あるいは浜堤がどのように消長するか、地形学的・堆積学的研究を行った。浸食海岸と堆積海岸における地形的変化と堆積物粒度の変化が、雨季と乾季の沿岸流の方向と関連を持っていることを明らかにした。4.ベトナム、メコン川における塩水遡上に関する調査結果をとりまとめ、論文として公表した。5.2007年の中越沖地震に際して、震央に近い海底に大量に出現した古木群の産状について音波探査を行い、その分布状況を明らかにした。その成果をもとに、古木の年代、樹種などの解析結果を総合し、縄文時代の陸域環境等を解析した。上記の具体的な研究成果は、沖積デルタの形成と成長に係わる気象・海象条件と陸域での堆積物供給過程、堆積盆の沈降運動の関わりを総合的に議論する貴重な基礎的データとなった。
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