| 研究分担者 |
和田 秀樹 静岡大学, 理学部, 教授 (20126791)
亀尾 浩司 千葉大学, 理学部, 助手 (00312968)
北里 洋 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, プログラムディレクター (00115445)
中村 栄子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (10017733)
大河内 直彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (00281832)
|
|---|
| 研究概要 |
本年度の研究は以下の調査を行い,幾つかの重要な成果を上げることができた.
・横浜市の上総層群
1.コア3本を新たに掘削すると同時に,既存のコアの全面的な見直しを行った.その結果,湧水中心部には自生炭酸塩角礫からなる顕著な礫層が複数層準で確認され,また,アラゴナイトの沈殿層準が明確になった.
2.自生炭酸塩の炭素安定同位体比から,SMIとAOMゾーンを推定し,これらと嫌気的メタン酸化菌のバイオマーカー濃度及び炭素安定同位体比の間に極めて高い相関がある事を示した.
・宮崎県の宮崎層群
1.ボーリング掘削点北部の沢の柱状図を作成した.この沢にも自生炭酸塩とツキガイモドキガイ類の産出を確認した.
2.コアの岩相を詳細に解析した結果,化学合成二枚貝と自生炭酸塩が顕著に産出する層準は,やや粒度が粗くなる層準にほぼ一致することが明らかとなった.この事実は,湧水と氷河牛海水準変動が同期していた事を強く示唆する.
・千葉県の上総層群
1.柿ノ木台層のボーリングコア及び露頭から有孔虫化石を抽出し,安定同位体比を測定した結果,MIS17と18が識別された.自生炭酸塩と化学合成二枚貝は,MIS17と18の間,すなわち温暖化期に産出している事が確認された.
・鎌倉市の浦郷層
1.鎌倉市天園のシロウリガイ類産出層にボーリングを2本実施した.その結果,自生炭酸塩の繰り返しが確認された.
・フィリピンレイテ島
1.フィリピンレイテ島で発見された化学合成化石群集の調査を行い,日本の化石群集との比較を行った.
・本年度のまとめ
今年度の最も大きな成果は,正確なコア及び露頭柱状図を作成し,コアと露頭の相互の対比が正確に行えるようになった事,および自生炭酸塩の炭素安定同位体比が間隙水DICの炭素安定同位体比垂直プロファイルと良く一致する事を示した事である.また,化学合成二枚貝の成長線解析を開始した.
|
