研究概要 |
1 スターダストが持ち帰ったヴィルト2彗星塵試料の電子顕微鏡分析: NASAの探査機スターダストが持ち帰った彗星の塵試料(9つ)の分析を,透過電子顕微境を用いて行なった。塵は主にカンラン石,輝石,Fe-Ni硫化物,Fe-Niメタルからなり,コンドライト隕石の構成物に似た鉱物からなることがわかった。カンラン石,輝石の組成は非常に不均質であり,このことは彗星内での加熱の影響はほとんどないことを意味している。輝石粒子からは,多様な熱履歴を経たことを示す証拠,またカンラン石粒子からは高速度衝突を受けたことを示す証拠を見出した。得られた結果を総合すると,ヴィルト2彗星粒子は,星間塵よりコンドライト隕石と似た成因を持つ可能性が高い。 2 CKコンドライト阻石の微小な気泡と鉄酸化物・硫化物を含むカンラン石の成因 CK隕石のカンラン石は暗色化を示すことが知られているが,暗色化の原因についてはよくわかっていなかった。本研究では,透過電子顕微鏡を使い,CK隕石のカンラン石塩暗色化が無数の微小な気泡や鉄酸化物・硫化物の包有物を含む特異なカンラン石結晶(vesicular olivine)に起因することをつきとめた。Vesicular olivineは,衝撃加熱によってカンラン石が瞬間的に溶融し,気泡や他の鉱物を取り込んだのち,冷やされて結晶化したものだと考えられる。我々は,CK隕石のカンラン石暗色化は高温(>600℃)に熱せられた天体(小惑星)が比較的低い衝撃圧力(<20GPa)を受けてできたという新しいモデルを提出した。
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