研究概要 |
2007年春(4/16-30)の淡青丸KT-07-8次航海において三陸沖の春季ブルーム時のDMSを含む海洋生物起源気体の海水中濃度および大気中濃度を測定した。また,「みらい」によるMR07-4次,5次研究航海(7/24-10/2)において,開発した船上用蛍光X線分析装置を淡青丸航海の促成システムに加えて搭載し,海水中の懸濁粒子試料の主要,微量元素の船上分析を行った。北太平洋亜寒帯海域の中央部で生物起源粒子の増加がみられ,東部でのCa粒子濃度のピークに対応し,大気中DMS濃度が増加傾向を示した。東西の海域の海洋生物組成の違いがDMS放出フラックスと関連していることを示唆している(植松)。 北部北太平洋のDMSの大気への放出量を渦相関法により船上にて測定した。これと並行して,海水中と大気中のDMSなどの硫黄化合物の同時測定を行い,バルク法によるDMSの放出量を計算し,2つの方法の結果を比較した(永尾)。 三陸沖での自然ブルームが起こっている時期には,海水中のジヨードメタンやクロロヨードメタンの濃度が高い観測点では,同様にこれらの化合物の大気中濃度も高く,海洋と大気でこれらの微量ガスが連動している様子が観測された(橋本)。以上,海洋でのブルーム時における海洋生物起源微量ガスの生成と海洋生物活動との関係が明らかになり,またこれらの化合物の海洋からの生成量を見積もる上で,興味深い知見が得られた。これらの成果は,学会発表を終え,現在,三報が国際誌に投稿中である。
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