研究分担者 |
岡村 慶 京都大学, 化学研究所, 助手 (70324697)
則末 和宏 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (50335220)
鈴木 光次 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (40283452)
長谷川 浩 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90253335)
宗林 留美 静岡大学, 理学部, 助手 (00343195)
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研究概要 |
白鳳丸,海鷹丸,みらいの研究航海に参加し,太平洋と南極海において海水試料を採取した.生物活性微量金属の鉛直断面分布を明らかにするために,これらの試料の分析を進めた. 北西北太平洋における現場鉄散布実験(SEEDS-II)に参加し試料を採取した.生物活性微量金属と植物プランクトンの応答・変化の解析を進めた. 生物活性微量金属の分布と動態に影響を与えうる,アルカリ度と全炭酸のフロー式現場分析装置を開発した.光ファイバを用いた検出系を設計・試作し,ダイアフラムポンプを用いた試薬送液の安定化について検討した. 珪藻類の増殖が海水中の鉄不足により制限されていることを評価するため,光化学系Iの鉄-硫黄結合タンパク質PsaCおよび光化学系IIの反応中心PabA(D1)の検出法を開発した.さらに,珪藻Thalassiosira pseudonanaのゲノム情報から,鉄制限時に発現するフラボドキシンの抗原部位(珪藻類に共通)を推定し,抗ペプチド抗体を作成した. 人工キレート配位子存在下の植物プランクトン培養液中における鉄のサイズ分画を調べた.また,鉄制限下において植物プランクトン外膜タンパク質の組成変化をSDS-PAGE法で解析した.ディファレンシャルディスプレイ法を用いて鉄制限誘導型遺伝子群を探索した結果,エノラーゼ,アルギン酸分解酵素やヒートショックタンパク質等をコードする塩基配列と高い相同性を示す遺伝子群を得た. 駿河湾におけるナノ鞭毛虫と繊毛虫の現存量の日周ダイナミクスを調査した.水深20〜500mにおいて,夜間の繊毛虫現存量の増加が海洋環境で初めて確認された.ナノ鞭毛虫の細胞数は夜間に低くなる傾向が見られ,繊毛虫が夜間にナノ鞭毛虫を捕食していた可能性を示した.これらの結果は,原生動物の現存量の日周ダイナミクスが,微量金属の迅速なリサイクルを促している可能性を示している.
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