研究課題/領域番号 |
16204048
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教授 (00210790)
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研究分担者 |
北村 光 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60335297)
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教授 (50361837)
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キーワード | ultra-short-pulse laser / warm dense matter / conductivity / equation of states / adiabatic expansion / two fluid region / electron localization / metal-nonmetal transition |
研究概要 |
この研究は、固体からプラズマ化されるまでの等密度変化させた場合の物質定数、その後断熱膨張過程の定数変化をフェムト秒ポンププローブ計測で測定するものであるが、今年度は、計測システムのより高精度化を目指して、1)増幅システムの増強、プローブ光の強度安定化、2次元反射率顕微イメージ観測系の構築、コーティング=>測定まで非大気開放で計測するシステムの構築などを行なっている。これらにより、以下のような成果を得ている。 1)Hgのwarm dense matter領域でのポンププローブ計測を初めて行い、照射後の金属-絶縁体転移と思われる反射率の低下を観測。この転移時間は1〜40ピコ秒に及んで変化していることがわかった。また、常圧下のHgより高い反射率を持つ物質が観測された。 2)Hgと同類の電子構造を持つZnについて、ポンプ照射にともなう高温高圧下での複素屈折率測定を行なった。まだ1波長での観測ではあるが、Hg同様の金属-非金属転移を示す誘電率実部の負から正への変化が観測された。これはHgで提唱されている6s-6p準位間の重なりによる転移の説明を裏付けるものであり、このモデルが初めて他の金属で証明されたことになる。今後の多波長データ観測を行い、より詳細な議論を行なう。 3)SnやWの状態方程式を、実験データからの外挿、理論モデルから推測されるスケーリングなどを用いて構築した。それによると、気液二相流体の状態では、予測通り音速の低下が起き、超短パルスレーザー照射後の断熱膨張過程では、断熱曲線が臨界点の高密度側で二相流体に接する場合には、膨張前面に密度のシャープな壁ができ、逆に低密度側ではなだらかな密度分布になることが分かった。また、その平坦な密度領域は、固体の数分の1の密度を持ち、光学的には濃度が高い状態であることが分かった。これは、以前行なわれた海外の実験データの解釈を変更させる可能性があり、現在追試実験を行なっている。 4)多波長同時二次元反射率測定のための高強度フェムト秒白色光発生では、フォトニッククリスタルファイバの入射断面での光破壊がこれまで大きな制限を生んでいたが、その部分を液体で覆うことにより、高い白色光発生が可能になることが分かった。
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