| 研究概要 |
<界面で発生する新奇2次元固体>を対象とし,<秩序と乱れ,複雑性>を<構造とエネルギー>の両局面から解明することが本研究の最終目的である.対象は以下の3種であり,種々の分子が形成する2次元固体について,界面特異な秩序構造を明らかにする一方で,ダイナミクスや分子間相互作用の均衡を統計熱力学的に理解する.
(a)気固界面で形成する2次元固体
(b)固液界面で形成する2次元固体
(c)結晶成長の初期過程で形成する2次元固体
1.走査型プローブ顕微鏡を設置し,高真空下での測定に加え液中での測定を可能にした,グラファイト単結晶表面を用い室温での観測を行った.(稲葉・高倉)
2.X線回折(気固界面)および中性子回折(固液界面)を適用し,アルカンやアルコール,カルボン酸の2次元固体における混合様式を構造面から調べた.カルボン酸の2次元固体について論文発表を行った.(稲葉)
3.分子動力学計算の対象として,実験的な研究を終えているデカン/グラファイト系を扱った.単分子膜固体の構造と融解挙動,分子長軸周りの回転運動などのダイナミクスを調べており継続中である.(稲葉・崎里)
4.グリセロール水溶液について精密熱測定により相図を作成し,ガラス転移温度や結晶化温度,融解温度を得た.複数のガラス転移を見いだすなど興味深い結果を得たので論文を作成中である.(稲葉・長野・宮崎)
5.グリセロール濃厚水溶液について,高エネルギー加速器研究機構において中性子回折により結晶化を構造面から調べ,結果の一部を論文発表した.(稲葉・高倉・崎里)
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