研究課題
基盤研究(A)
本研究では、これまでに開発してきた精度の高い実験と理論計算手法を駆使して、多様な表面分子系における内殻励起イオン脱離反応のダイナミックスの全貌解明を目指し、以下の重要な成果を得た。1.高配向性表面分子系としてメチルエステル基をもつ自己組織化単分子膜試料(SAM)を採用することにより、サイト選択的結合切断の選択性が従来のPMMA試料に比べて格段に向上することを発見した。また、定量的な解析法を独自に開発して、選択的成分がSAM試料で90%以上、PMMA試料で60%程度と見積もることに成功した。2.脱離イオンの偏光依存性の実験から、サイト選択的な直接反応機構で脱離するイオンのみが強い偏光依存性を示すことが判明し、直線偏光した励起光の入射角度を変えることにより選択的結合切断を制御できることを見出した。3.SAM試料のO-CH_3結合の切断において、σ*(O-CH_3)←C_<1s>(O-CH_3) and O_<1s>、(O-CH_3)のいずれの励起も有効であるが、切り取られた脱離イオン(CH_3^÷)の断片化パターンには両者で顕著な差異があることを発見した。Cの励起では、激しい断片化反応が起こりCH_n^÷(n=1-3)イオンが生成する("Hard-Cut"と命名)。一方Oの励起では、断片化反応は抑制さる("Soft-Cut"と命名)。4.内殻共鳴励起状態の動力学を密度汎関数法により理論的に調べた結果、選択的結合切断反応に重要な役割を果たす共鳴励起状態での反発ポテンシャルの傾きと化学結合との系統的な関係を理論的に見出すことに成功した。着目した化学結合間の原子番号の和が大きいほど、また、結合長が短いほど、また、原子番号の大きい原子を励起した方が、強い反発を示すなどの一般的な規則性が発見され、サイト選択的結合切断を予測する重要な指標となり、反応設計を行なう上で有用な知見である。
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