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2004 年度 実績報告書

出会い錯体の構造と反応性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16205009
研究種目

基盤研究(A)

研究機関東京工業大学

研究代表者

海津 洋行  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20016140)

研究分担者 大塚 拓洋  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20280993)
浅野 素子  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80201888)
キーワード出会い錯体の構造 / 光励起エネルギー移動 / ルテニウム(II)錯体 / クロム(III)錯体 / 水溶液 / 混合配位子錯体 / ドナーとアクセプター / 遭遇イオン対
研究概要

溶液中における化学反応について、その出会い錯体の詳細を知るために混合配位子錯体を用いた金属錯体間のエネルギー移動の研究を行った。錯体半径がほぼ等しい一連の混合配位子錯体[Ru(phen)_3(4,4'dmbpy)_<3-n>]^<2+>(n=0,1,2,3)をエネルギードナー、[Cr(CN)_6]^<3->、[Cr(ox)_3]^<3->、[Cr(mal)_3]^<3->をエネルギーアクセプターとして、水溶液中におけるエネルギー移動速度定数k_1を見積もった。k_1は拡散速度定数k_dよりも小さく、エネルギー移動は出会い錯体を形成中に起こっていることがわかる。アクセプターの配位子に着目すると、k_1は[Cr(CN)_6]^<3->>[Cr(ox)_3]^<3->>[Cr(mal)_3]^<3->と、アクセプターの半径が大きくなるにつれて小さくなった。また、ドナー錯体の4,4'dmbpyの数nによるk_1の依存性に着目すると、アクセプターが[Cr(CN)_6]^<3->のときはnによらず一定となったが、アクセプターが[Cr(ox)_3]^<3->のときはnが大きくなるにしたがって段階的に減少し、[Cr(mal)_3]^<3->のときはnが大きくなるにしたがってk_1の値は減少していくが、n=0からn=1にしたときに急激に減少してn=3、すなわち[Ru(4,4'dmbpy)_3]^<2+>のk_1に近い値をとった。このことから、[Ru(phen)_2(4,4'dmbpy)]^<2+>-[Cr(mal)_3]^<3->系では、1つしかない4,4'dmbpy、しかもエネルギー移動速度の小さい4,4'dmbpyの方から選択的にエネルギー移動が起こっていることがわかる。このことは、水溶液中において出会い錯体を形成している間、[Ru(phen)_2(4,4'dmbpy)]^<2+>の周りに[Cr(mal)_3]^<3->が平均的に存在していると考えると説明できず、[Ru(phen)_2(4,4'dmbpy)]^<2+>の1っしかない配位子4,4'dmbpyの周りに[Cr(mal)_3]^<3->が選択的に存在していることが推察される。また、スペクトルの重なりから判断すると、[Cr(CN)_6]^<3->の場合がエネルギー移動に関しては最も不利であるにも関わらずk_1が最も大きくなることや、k_1がnに依存しないことから、出会い錯体中で[Cr(CN)_6]^<3->は[Ru(phen)_3(4,4'dmbpy)_<3-n>]^<2+>の空間に入り込んだ構造をとることが推察される。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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