研究概要 |
スメクティック液晶性を示すBiphenyl、2-Phenylnaphthalene、Terthiophene、Quaterthiophene,2-Phenylbenzothiazole誘導体を合成し、その相転移挙動を明らかにし、Tme-of-flight法による過渡光電流測定から電荷輸送特性を評価した。 合成したBiphenyl誘導体のSmE相、SmB相では、従来の液晶物質に見られる電荷輸送特性とは異なり、移動度がそれぞれ、温度・電場、温度に依存するという特性が見出された。この特性は、不純物によるのではなく、この物質の本性的な特性であることが分かった。ジアルキル置換基を持つ2-Phenylnaphthalene誘導体では、アルコキシ誘導体に比べて、液晶化温度は大きく低温化し、-20℃程度までSmE相が発現するものがあり、10^<-2>cm^2/Vsを超える高い移動度が観測された。非対称の置換基を持つTerthiophene、Quaterthiophene誘導体では液晶化温度の大幅な低下と液晶相温度領域の拡大が見られ、単一相においても室温を含む100℃以上の広い温度領域での液晶相の発現が見られた。 特に、Quaterthiophene誘導体では移動度は0.1cm^2/Vsの高い値を示した。2-Phenylbenzothiazole誘導体では、2-Phenylnaphthalene誘導体の同一相に比べて、SmA, SmB相のいずれにおいても1桁以上高い移動度が観測され、SmB相では10^<-2>cm^2/Vsであった。
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