研究概要 |
16年度計画の「単層・多層カーボンナノチューブ(CNT)複合リング構造素子作製技術の確立」については、走査型プローブ顕微鏡(SPM)探針を用いたCNTマニピュレーション技術の確立(落合)のため,クローズドフィードバック機構のついたマニピュレーションに特化したSPMを新規に導入した(千葉大学)。そして、電子線露光装置を用いたCNT素子への配線技術(落合,石橋)のため、CVD法にて作製された単層CNTにTiAu電極を、電子ビーム露光リソグラフィーにて装着し、低温電気伝導を観測した。これにより、単電子トンネリングによるクーロンダイヤモンドが観測され、この技術の第1段階が達成された。単層・多層CNT複合リング構造の創出は、単層CNTの操作の、第1段階操作である平行移動やそのAFM画像観測について成功したが、複合系試料の創成にはいたっていない。しかし、多層CNTの操作については実績が得られており、複合系を構成する上での有用な伝導特性も得た。特に、交差型素子のファノ効果に関する電気伝導の観測と理論的な考察も行い、複合リング構造に移行する際のファノ効果観測のための重要な情報が得られた(落合)。 「単層・多層CNT複合系の基礎特性評価」については、SPM探針を用いた単層・多層CNT接合部位における基礎特性の評価(藤原)の伝導特性評価のために,半導体パラメータアナラザを新規に導入した(北陸先端大)。その結果の議論のため、藤原が千葉大学に出張した。そして、CNT・フラーレンなどのナノカーボン材料を用いたナノデバイスの微小化に伴って、サイズ効果が顕著になることから、電極からのナノカーボン半導体への電荷注入機構について、デバイス特性のサイおよび温度依存を詳細に調べることができた。CNTデバイスの調査・情報収集と上記第一段階の研究成果発表のため、大学院生を帯同したりして、落合が2度外国出張を行った。
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