研究課題
最近、表面ミュオンビームから、超低速ミュオンを作り出すことに成功し、いよいよ本格的な表面物性への応用も視野に入れることが可能となってきた。本研究の目的は、超低速ミュオンの特徴を生かして、ナノ構造・表面界面の磁性原子スピンのダイナミクスを調べるスピントロニクスへの展開を目指した物性研究、半導体ナノクリスタルに於ける表面水素の役割を解明する研究、金属表面での触媒反応における水素状原子の役割を解明する表面・界面科学研究等の分野において、新しい展開を図る事である。組み上げた超低速ミュオン用μ^+SR分光装置の性能試験を行った。超低速ミュオンの打ち込みエネルギーを1keVから18keVまで、変化させることで、打ち込み深さを調整する事ができる。SiOにアルミニウムを40nm蒸着させた試料を用意し、打ち込み深さによるアシンメトリの変化量を調べる実験を行った。この時、SiO_2中では、ミュオニウム成分が多いので、アシンメトリは小さいが、アルミニウムでは100%近くディアマグネティック成分が存在し、アシンメトリが大きい。実験では、打ち込み深さによってアシンメトリが変化し、エネルギーの低い場合にはアルミニウムに止まるが、高くなるとSiO_2に超低速ミュオンが止まることが実験的に確かめられた、この事はまさに超低速ミュオンによって表面の研究を展開することができることを明示している。超低速ミュオン用μ^+SR分光装置として、十分な機能を有する事が判明した。特に本年度は、ペロブスカイト化合物のSrTiO_3(011)基盤上で成長させたNd_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3で最近発見されたAnti-Phase Antiferroorbital Orderingの研究を行っている。予測通り、薄膜での強磁性転移等を明確に示す新しい結果が得られており、超低速ミュオンの薄膜磁性への本格的な展開が可能である事を実証した。
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