研究概要 |
本研究は新炭素系機能性材料であるナノカーボンの特性を活かしたナノメートルサイズの機能粒子を創製し,そのカーボンナノ粒子を光放射圧で制御することによって,ナノメートルスケールの超微細形状加工および研磨加工を可能にする新しい光放射圧超微細加工原理を確立することを目的とするものである. 平成18年度は,フラーレンナノ粒子会合体スラリーの創製基本技術および光放射圧運動制御機能を持つ超微細加工基本技術の開発を遂行し,以下の研究成果を得た. (1)水溶性氷酸化フラーレンを用いたナノ研磨スラリーの開発:C_<60>に水酸基が32〜34個修飾された水溶性の高い(<5wt%)ポリ水酸化フラーレンを砥粒として用いた研磨スラリーを開発し,酸化剤・防腐剤・キレート剤に分散させたスラリーによるCu-CMP研磨実験によって,表面粗さ1.64nmRMS以上の超平坦加工が可能であることを示した. (2)光放射圧を利用した微粒子操作によるナノ加工技術の開発:超純水中においてレーザ捕捉した直径3μmのシリカ微粒子をマイクロ工具とみなし,光放射圧で振幅数100nm,周波数数KHzの横振動加工制御運動を与え,シリコンウエハ表面を移動する実験を行った.その結果,1〜2nmの加工深さ分解能を実現し,光放射圧制御マイクロ微粒子によるナノ加工の可能性が示唆された. (3)UVレーザによる超微粒子のレーザトラップ技術の開発:カーボン機能ナノ粒子の光放射圧制御によるナノ仕上げ加工プロセスの実現にむけて,UVレーザ平均出力1.2W,λ=354.7nm,パルス幅33nsec,パルス繰り返し率30kHz)および対物レンズ(NA=0.9,f=3.0mm)などから成るレーザトラップシステムの構築を行った.それを用いて直径1μm微粒子の捕捉が可能であることを実験的に確認し,加工横分解能1μm程度の微細ナノ仕上げ加工を実現できる可能性を示唆した.
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