研究課題/領域番号 |
16206019
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大前 伸夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029345)
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研究分担者 |
保田 英洋 神戸大学, 工学部, 教授 (60210259)
田川 雅人 神戸大学, 工学部, 助教授 (10216806)
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キーワード | カーボンナノチューブ / ナノトライボロジー / フラーレン / オニオンライクカーボン / ダイヤモンド / マイクロトライボロジー |
研究概要 |
カーボンナノチューブは特異なトライボロジー特性を示し、μNオーダーの接触力では超高摩擦でμ=1を超え、mNオーダーではμ=0.3程度、潤滑油中に(PAO)ではμ=0.001と変化した。このようなトライボロジー特性を示す材料は現在までに報告されたことがない。また、低摩擦を示した接触力mNの条件では、カーボンナノチューブが摩擦過程中に自己組織化を行い、グラファイト薄膜が形成されていることを高分解能透過電子顕微鏡観察により明らかにした。また、μNオーダーの接触力では相手材料、相手湿度、すべり速度等の影響を受けず、高摩擦、ゼロ摩耗を呈することも判明した。予測されたように、カーボンナノチューブの高剛性、超撥水がこのような結果に関連したものと考察される。 カーボンナノチューブのアトムプローブ電界イオン顕微鏡を用いて観察した結果、C_<14>〜C_<20>の炭素クラスターとなって離脱することが明らかとなった。すべて5員環を含むクラスターであるので、5員環の存在が極めて重要な変形特性を与えることが分かった。 カーボンオニオンに関しては、前年度の透過電子顕微鏡内での電子線照射実験の結果を踏まえ、10^<-4>Torrの真空中で1700℃、10分のアニールにより作製する条件を確立した。ダイヤモンドナノ粒子から直径約10nmのカーボンオニオンが作成できることを高分解能透過電子顕微鏡を用いて確認した。超高真空中で作動する原子間力顕微鏡を用いてカーボンオニオンのトライボロジー特性を評価した結果、凝着力は27nNと高配向グラファイトの約2.5倍の値を示すとともに、摩擦係数も約2.5倍となった.このことは、カーボンオニオンが変形してグラファイト板状になるときの変形抵抗の起因するものと思われるが、現在同装置に具備されている走査トンネル顕微/分光を用いて原因を究明している。カーボンオニオンをPAOに添加して摩擦を行った実験では、超低摩擦、高耐磨耗性の自己組織膜が形成されることを発見した。
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