研究概要 |
研究は4つの視点から行っている.数値計算による気体軸受の流動解析,スケールアップモデルによる低速回転試験,タービン駆動小型試験機による高速回転試験,狭小流路における空気の伝熱特性試験である. 流動解析は軸径31.8mm,軸受長さ45mm,半径隙間20μ,回転数10,000,50,000,100,000rpmを中心にして行った.軸受の負荷能力を表す無次元負荷と,回転数を表すベアリング数の関係は他の研究者による理論解とほぼ一致する結果が得られた.軸受内部に作られる圧力分布に対応して,軸受隙間部から作動空気が出入りし,軸受の冷却に寄与していることが分かった. 低速回転試験は数値計算結果を参考にし,試験機の仕様を定めた,回転軸に高速応答の圧力変換器を取り付け,軸受内部の圧力分布を位相固定法により測定することを目的としている.現在,軸受隙間と圧力分布の関係を得るために調整中である. 高速回転試験機は予備実験の結果,低速回転時の負荷不足によって軸と軸受が接触し,最悪の場合焼付きが発生することが分かった.これを防止するため軸受表面にセラミックコーティング(窒化珪素など)を施している.各種のコーティングを施し回転試験によって検証を行っている. 伝熱特性試験によれば,伝熱面に作用する圧力勾配が固体から空気への熱伝達に大きな影響を与えることが分かった.軸受内部には空気のせん断により大きな圧力勾配が発生する.これが軸受から空気への伝熱を促進し,軸受の冷却を改善する可能性があり,この観点から研究を推進する.
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