研究概要 |
4カ年計画の最終年度に当たる今年度は,前年度に引き続き,非熱平衡プラズマによる低濃度トリクロロエチレンの分解特性の向上とパルス放電中のラジカル計測を進めた。再度リアクターの設計を見直し,触媒の配置する場所をプラズマ発生領域の直近に配置した場合の(電界などによる)各種効果を実験的に調べた。触媒としては,開発を進めているオゾン分解用の二酸化マンガン担持アルミナ粒子を用いた。当然,プラズマリアクターのすぐ後に触媒を置いた場合と,あるい程度離しておいた場合の比較も含まれる。触媒設置ゾーンに電界をかけると漏洩電流により増加すると思われた消費エネルギーが,予想に反して現象する結果が現れるなど今後のさらなる検討が必要な項目が複数発見された。ラジカル計測においては,酸素原子ラジカル計測においては,針先端から大量に形成されること,オゾン生成領域と若干のずれがみられることなどが判明した。210nmレーザ励起による窒素ラジカル計測は,レーザ出力が十分でなくTALIF信号を測定できなかった。反面,窒素分子の励起状態を618nmレーザで励起するLIF測定ではそれなりの成果を上げることができた。ただし,この結果では,針直下で窒素分子励起状態の発生が多く,必ずしも酸素原子発生とは一致しない結果が得られた。本来,窒素励起分子はNOを励起するといわれている。その結果NO発光が観測される。この発光観測結果と窒素分子励起状態分布とは必ずしも一致しておらず,今後の更なる研究が必要と認められる。OHラジカル計測においては,2つの信号から,平衡を仮定すると温度計測が可能となるなど多大の成果を上げることができた。
|