研究概要 |
本研究は、4カ年計画で開始されたもので大気圧非熱平衡プラズマを用いて環境汚染物質、特に、揮発性有機物(VOCs)の除去技術の開発と,非熱平衡プラズマ反応機構の診断技術の確立を目指したものである。VOCsとしては100〜1,000ppmのトリクレン(TCE 大気中)をエネルギー効率を高めた状態で分解除去する技術の構築を目的とし、短ギャップ、ボルト形電極バリア放電リアクターを開発し、更に、各種触媒の併用によるエネルギー効率向上を試行し、オゾン分解触媒である二酸化マンガンが良好なこと、特に、表面積の大きな球状アルミナに二酸化マンガンを担持させた触媒が有効であることを実験的に確認し、併用効果で投入電力エネルギー(SED)が 10J/L程度でTCEの90%以上が分解できること、また、炭素収支を考慮するとTCE中の炭素の完全な酸化には、SEDが100J/L程度必要なことなどを明らかにした。更に、触媒をプラズマリアクターの直後に配置することでより優れたTCE分解性能が得られること、触媒の位置や有無で分解生成物に大きな相違があることなどを明らかにした。電極端部での放電が分解効率に影響していること、ラジカルと触媒との相互作用の究明が必要なことなどが判明している。更に、反応機構の診断としては、OH,酸素原子O、励起窒素分子N_2^*のラジカル診断技術をレーザ誘起蛍光法(LIF)で確立し、放電、特に、ストリーマとラジカルとの関係を明らかにした。更に、オゾン分布を含めてラジカル分布の2次元可視化に成功し、ラジカルとオゾン分布に相関があることなどを明らかにした。現在、OHラジカル、オゾン分布などの定量化を実践中であり、NO発光、ナノ秒以下でのストリーマ進展観測によって従来モデルの実験的検証を行っている。
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