研究分担者 |
高橋 庸夫 北海道大学, 大学院 情報科学研究科, 教授 (90374610)
猪川 洋 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (50393757)
藤原 聡 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主幹研究員 (70393759)
西口 克彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究員 (00393760)
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研究概要 |
本研究は、シリコン中のドナー(あるいはアクセプター)レベルを利用した単一電子操作技術の確立を目的としている。18年度は、主に以下の成果があった。 1 微細MOSトランジスタにおける単一アクセプターの検出 ボロンを極低濃度にドープした微細MOSトランジスタの特性を低温にて詳細に調べ、単一のボロンアクセプターを検出することに成功した。また、単一アクセプターを介して流れる電流が、単一電荷トンネリングによることを明らかにした(Y. Ono et al., Appl. Phys. Lett.掲載)。 2 MOSトランジスタ中のリンドナーを介したトンネル伝導機構の解明 リンをドープした埋め込みチャネル型SOI-MOSトランジスタにおいて、リンドナーを介する電子伝導が、100ケルビンを越える極めて高温までバリアブルレンジホッピングに支配されていることを発見した。また、特異な負性微分伝達コンダクタンスが発現することを見出した。これらの起源が、MOSトランジスタにおける横方向電界によるものであることを理論的に示した(Y. Ono et al.,Phys. Rev. B掲載)。 3 シリコン伝導帯谷縮重度の制御 ドナーレベルを用いて単一電子の電荷やスピンを制御するときには、シリコン伝導帯の谷縮退が問題になる可能性がある。このため、谷縮退の制御は重要な要素技術である。今年度、SOI基板に強電界を印加することで、ゼロ磁場下で明瞭な谷分離が可能であることを実験的に証明した(K. Takashina et al., Phys. Rev. Lett.,掲載)。 4 その他の基礎実験 リンやボロンといった浅い準位を有するドーパントだけではなく、今年度は、深い準位を有する遷移金属ドーパントの検討も開始した。マンガンをシリコン中にイオン打ち込みし、その後に熱処理を行うことにより、強磁性が発現することを実験的に示した。また、磁気特性が熱処理温度に大きく依存することを見出した(s.Yabuuchi et al., Si Nano Workshopにて発表予定)。
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