研究概要 |
本年度は,レーザードップラー速度計(ドイツ製)を今年度1台購入予定であったが,3次元計測を今年度,迅速に進めるために2台購入することとした.3台のレーザードップラー速度計を用いて3次元計測に関して室内実験を行い,実鋼鉄道ボックスガーダー橋を対象にフィールド実験を行った. 室内実験においては,3台レーザー速度計による,対象物に対するレーザービーム方向の角度の算出法について検討した.今年度は3台を同一平面内に設置するという条件下で,レーザービームの方向を制御するミラーの方向を計測器から読み出して,三方向速度を捻出する手法を確立させた.室内実験においては,鋼板の振動,吊り下げられた加速度計の振動を3次元的にとらえ,十分な精度で3次元振動が計測できることを確認した. 室外実験においても,東海道新幹線 日野川橋において列車走行時の鋼桁の3次元振動を計測し,十分な精度で計測できることを確認した.なお,この橋は,垂直補剛材下端に疲労クラックが発見されているが,この原因がよく理解できないため,計測したものである.今回の3次元振動計測により,ボックス桁が列車走行時に断面変形を伴う高次振動モードで振動していることが判明した.なお,この高次振動は,列車のボギー間隔に起因する3Hz程度の基本振動数の9倍に対応するもので,加振力が完全調和力でないために,このような高次振動が励起されることが判明したのは,大きな意味のあることであった.
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