研究分担者 |
栗林 一彦 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (70092195)
渡辺 匡人 学習院大学, 理学部, 助教授 (40337902)
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00261511)
岡田 純平 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (90373282)
正木 匡彦 宇宙航空研究開発機構, 宇宙環境利用科学研究系, 助手 (00360719)
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研究概要 |
昨年度設計を終えた静電浮遊炉を外注製作し組み上げた。いろいろな箇所に当初は予測できなかった不具合が発生したので、その対策をとりつつも、X線回折測定をはじめとして種々の測定を行った。現在も残る不具合は高圧電極の冷却不足のみであり、これは次年度に改善工事を行う予定である。 研究の進捗は概ね予定通りであった。 X線回折測定についてはSPring-8 BL04B2ビームラインにおいは静電浮遊法と高エネルギーX線回折法を組み合わせZr, Si, BaGe化合物半導体の融体および過冷却融体の構造解析実験を行った。Zrについては過冷却融体に対しても非常に精度のよいデータを取得できており、計算機シミュレーションを併用して詳細な解析をすすめている。Ba-Ge合金はいわゆるクラスレート構造を形成するが、得られたデータに基づき、逆モンテカルロ法によるシミュレーションを併用したBa-Geの液体状態の構造解析を行い,液相においてもGeケージがBa原子を取り囲む短距離構造を形成していることを明らかにした。 Zr基のZr-Cu-Al系合金については、静電浮遊炉を用いて、三元共晶、亜共晶組成および過共晶組成の液体の体積変化および液体粘性を調べた。その結果、三元共晶組成は、ガラス転移温度での体積変化の温度依存性が大きく増加していることが明らかになった。これは、三元共晶組成の液体構造の自由体積が凍結しやすいことを意味しており、実際に、この組成は構造緩和(ガラス転移点以下で熱処理することにより不可逆な自由体積が奪われた状態)に伴う体積変化が最も大きかった。 電磁浮遊炉を用いた実験ではあるが、SPring-8 BL11XUにおいて,単色X線回折と5.7Hzの時間分解能を持つ2次元X線CCDを組み合わせることにより,Siデンドライト断片化のダイナミクスの理解を目的とし実験を行い、過冷凝固中において成長したデンドライトがキャピラリー効果により自発的に断片化する現象の観測に成功した。
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