研究概要 |
(1)Mg・TM・RE TM=Co, Ni, Cu, Zn, RE=Y、Dy、Ho、Er、Dy、Tb、Tm)合金で長周期積層構造(LPSO構造、Long Period Stacking Ordered Structure)が形成され、特に、RE元素がY、Dy、Ho、Erの場合には凝固時にLPSO相が形成され、Gd、Tb、Tmの場合には500℃の高温熱処理によってLPSO相が析出することがわかった。 (2)LPSO構造を生成するTM元素とRE元素のCriteriaを、原子半径差、混合エンタルピー、結晶構造、Mgへの固溶限によって表わすことができた。 (3)Mg・TM・RE合金のLPSO構造として、10H、18R、14H、24R構造が存在することを明らかにした。これらのLPSO構造は、原子最密面にTMとREが濃化した2原子層がそれぞれ5、6、7、8周期毎に存在することがわかった。 (4)鋳造塑性加工法により、室温で440MPaの降伏強さと6%の伸びを示す合金や高温(473K)で330MPaの降伏強さを示す合金を開発した。また、チップ材の押出固化成形法により、室温で515MPaの降伏強さと3%の伸びを示す合金や高温(473K)で367MPaの降伏強さを示す合金を開発した。 (5)LPSO型マグネシウム合金の塑性加工による強化は、比較的高強度なLPSO相へのキンクバンドの形成と、マトリックス相(α-Mg相)の動的再結晶による結晶粒微細化によるものと考えられた。通常の加工硬化とは異なり、長周期積層構造型Mg合金の強化メカニズムは、新しい概念の強化メカニズムであると考えられる。
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