研究課題/領域番号 |
16206071
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山中 一司 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00292227)
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研究分担者 |
三原 毅 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20174112)
辻 俊宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70374965)
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キーワード | 分調波 / 疲労き裂 / ステンレス鋼 / 超音波 / 閉口応力 |
研究概要 |
1.閉口き裂共振の最適化 昨年度の研究で、分調波の発生効率は、き裂面が開口した際、き裂面の長さと弾性波の波長が一定の関係にある場合、往復した弾性波が強め合って共振するという機構が推定された。そこで、本年度は任意の大きさの閉口き裂を最高感度で検出する条件を探索するため、入射超音波の周波数を可変にしてその2分の1の周波数でき裂が共振する条件を探索し、分調波の発生効率を最適化する可能性を検討した。その結果、ニオブ酸リチウムの単結晶を用いて周波数1kHzから7MHzまでの中心周波数を持つ周波数可変の励起素子を作成し、7075アルミ合金およびSUS316ステンレス鋼の疲労き裂に超音波を入射し、レーザー干渉計で検出したところ、入射超音波周波数が6-7MHzの場合に、周波数が1/2の分調波の検出に成功した。き裂の共振を取り入れた理論計算では、入射周波数が共振周波数の1/2に近い場合に分調波が現れるが、厳密に1/2でなくても良いことが分かった。 2.分調波フェーズドアレイの実装と閉口き裂検出原理の検証 素子数64、周波数帯域1-6MHzを有するデジタルフェーズドアレイシステムを製作し、これと周波数可変励起素子を組み合わせて、基本周波数、2倍周波数および2分の一周波数を中心とし、帯域可変なデジタルフィルターを有する分調波フェーズドアレイのプロトタイプ構築を行った。さらに、これを7075アルミ合金およびSUS316ステンレス鋼の疲労き裂に適用して、曲げ荷重を負荷することで閉口応力を変化させて、基本波と分調波によるき裂各部の画像化の可能性を調べた。その結果、閉口き裂の開口部は基本波で画像化できたが、閉口き裂の端部付近の映像は基本波では画像化できず、周波数1/2の分調波により初めて画像化できることを見出した。
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