研究課題/領域番号 |
16206071
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山中 一司 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00292227)
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研究分担者 |
三原 毅 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20174112)
辻 俊宏 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (70374965)
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キーワード | 分調波 / 疲労き裂 / ステンレス鋼 / 超音波 / 閉口応力 |
研究概要 |
[1]分調波ダイナミックホログラフィーの解析技術 欠陥で発生するサブハーモニック波を用いる映像法を開発した。この映像法の解析技術を確立するため、周波数fの超音波を入射した場合、き裂の共振周波数がどのような値の場合に、周波数がf/2のサブハーモニック波が発生するかを、弾性体と振動子を組み合わせた複合モデルで解析した。その結果、周波数f/2近傍にき裂面を伝搬するレーリー波による共振周波数があることが最適であることを見出した。次に、このモデルを用いて斜角透過法での実験条件および試験片(A7075)の物性値などを反映させて解析を行った結果、振幅が増加した場合と閉口応力が減少した場合にサブハーモニックが発生し増加する実験結果を説明できた。また、き裂面に働く応力状態とサブハーモニック発生条件の関係を説明することに成功した。 [2]分調波フェーズドアレイの実機材料への適用 医療分野や超音波探傷試験に使用されているフェーズドアレイに、特別に開発した大振幅超音波発生装置を組み合わせることで、閉じたき裂を実時間で合成し表示する非線形超音波フェーズドアレイを開発し、疲労試験片および鉄鋼製造プロセスで発生したき裂に対して、後方散乱配置で適用した。次に、試験片を切断して欠陥の大きさと位置を確認した結果と比較して、開発した手法の精度を検証した。その結果、基本波像とサブハーモニック像は、表面観察によるき裂深さとほぼ一致するという知見が得られた。このことから、閉じた疲労き裂だけでなく、現場で発生した枝分かれや傾斜した閉じたき裂の高精度評価に、非線形超音波フェーズドアレイが有効であることを示すことができた。
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