研究課題/領域番号 |
16206072
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高井 治 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (40110712)
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研究分担者 |
齋藤 永宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00329096)
井上 泰志 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教授 (10252264)
穂積 篤 名古屋大学, 産業技術総合研究所, 主任研究員 (40357950)
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キーワード | ディップペンリソグラフィ / DNA / ケルビン力顕微鏡 |
研究概要 |
1.はじめに 走査プローブ顕微鏡(SPM : Scanning Probe Microscopy)は、プローブと試料表面の間に働く様々な物理的相互作用を検出し、微少領域の表面形状観察、局所特性の観察および計測を行う装置である。その微小領域の表面を直接イメージングできるという能力から、様々な応用がなされている。さらに、観察装置であると同時に、ナノレベルの微細加工装置でもある。プローブをペン、基板を紙として、ペンで絵を描くかのごとく、基板上に微細構造を作製することが可能である。一方、近年のめざましいバイオテクノロジーの発展により、バイオマテリアルのさらなる必要性が高まっている。その要求は、現在、より微小領域での制御と、材料構築へと進んでいる。 そこで、本研究では、SPMを用いて、バイオインタフェースの制御および構築を行うことを目的とする。前者として、異なる表面状態を持つ基板上での生体分子の吸着観察、後者として、基板上への金ナノ構造作製および有機分子アレイへの応用を行った。 2.実験方法 <1.生体分子の吸着観察> 自己組織化単分子膜(SAM : Self-Assembled Monolayer)を用いて、表面状態(親水疎水性、電荷状態)の異なる基板を作製した。その基板を、血漿蛋白質の一つであるヒトフィブリノゲン(HPF)をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を溶解させた溶液に浸漬し、HPFを吸着させ、SPMにより吸着状態を観察した。 <2.金ナノ構造の作製と応用> フッ化アンモニウム溶液により、水素終端化したシリコン基板上に、塩化金酸溶液をインク、プローブをペンとして用いることで、ナノ構造を作製した。さらに、金ナノ構造を作製した基板を、アルカンチオール、アミノ基末端チオールを原料とする溶液に浸漬させ、金ナノ構造上に有機分子を固定化し、有機分子アレイを作製した。 3.結果および考察 <1.生体分子の吸着観察> 基板によって、吸着量および吸着形態が異なった(図1)。より疎水性の大きい基板上に多く吸着した。また、吸着形態は、疎水性基板上で3つの部位のある構造、親水性基板上で、球状構造となった。また、表面の電荷状態も吸着形態に影響していることがわかった。 <2.金ナノ構造の作製と応用> シリコン基板上に、様々な金ナノ構造を作製できた(図2)。その金ナノ構造の生成メカニズムは、プローブのチップと基板間の吸着水を介した金イオンの拡散とその還元反応によると考えられた。また、金ナノ構造上に金-チオール結合により有機分子を固定化できた。 4.まとめ SPMを用いて、生体分子の観察およびナノ構造体の作製が可能となった。
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