研究課題/領域番号 |
16206076
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中西 一弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90026584)
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研究分担者 |
今村 維克 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70294436)
今中 洋行 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10379711)
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キーワード | 付着 / タンパク質 / 固体表面 / ポリスチレン / アフィニティペプチド / 疎水性・親水性 / GST / ELISA |
研究概要 |
本年度は、プラスチック及びガラス表面へのタンパク質の付着機構の解析に着目した。プラスチックに対する付着に関しては、分子レベルからの取扱いと実際に製造プロセでみられる実学的立場の2点から取組んだ。プラスチック表面としてはポリスチレン(PS)と耐熱性の高いポリフェノールサルフォン(PPSU)を用い、ステンレスなどの金属(酸化物)表面に対する付着の結果と比較考察した。PS表面に対するタンパク質の付着機構を調べるために、疎水性(接触角=63°)と親水性(接触角=33°)のPSを使用した。モデルタンパク質としてのglutathione S-transferases(GST)及び大腸菌β-galactosidase(β-Gal)の付着特性を、付着量と付着の配向から評価した。配向を、それぞれC末端を認識する抗体を用いてELISA法で評価したが、疎水性PS表面に対しては、かなりランダムな配向で付着していることが示唆された。また、酵素の残存活性が低いことから、付着に伴う構造変化も生じていることが示唆された。一方、親水性PSに対しては、付着の相互作用が弱く、殆ど付着しないことが示された。一方、ランダムペプチドライブラリーシステムを用いて,親水性PS表面に強い親和性を有する12アミノ酸残基からなるペプチドをスクリーニングしたところ、LysやArgなどの塩基性アミノ酸、LeuやIleなどの疎水性アミノ酸と親水性のアミノ酸残基が含まれていることが判明した。この12アミノ酸からなるペプチドをGST及びβ-GalのC末端に連結すると、強い付着力が認められた。ガラス表面に対しても同じ手法で解析したところ、塩基性アミノ酸残基を複数含むペプチド部分が表面に対して強い付着力を示すことがわかった。一方、PPSUに対するβ-ラクトグロブリンの付着量を、主としてFTIR(ATR)を用いて種々の条件下で比較した結果、室温及び高温下のいずれの条件においても、樹脂平板への付着量は、ステンレス平板への付着量よりも明らかに低いことが示された。
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