• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

独自手法でES細胞から誘導された肝細胞を用いた慢性肝不全治療用人工肝臓の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16206079
研究機関九州大学

研究代表者

梶原 稔尚  九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10194747)

研究分担者 水本 博  九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90346817)
中澤 浩二  北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (00304733)
キーワードES細胞 / オルガノイド / 分化誘導 / 肝細胞 / 中空糸 / ハイブリッド型人工肝臓 / 再生医療
研究概要

1.前年度の検討において確立した中空糸/オルガノイド培養法によるES細胞の肝細胞への分化誘導について、霊長類ES細胞であるサルES細胞(カニクイザルES細胞:アサヒテクノグラス社)を用いた検討を行った。サルES細胞は分散状態では増殖能および分化誘導のトリガーとなる胚様体の形成率が著しく低下するといわれているが、オルガノイド培養法の適用により、旺盛な増殖能を示し4×10^8cells/cm^3の高密度培養を達成した。一方肝機能評価としてアンモニア除去能を評価した結果、特別な分化誘導因子を添加することなく機能の発現が認められた。マウスES細胞において効果が示された分化誘導因子については明確な効果は認められず、サルES細胞を用いた条件下で最適化する必要性が示された。次にサルES細胞を用いたオルガノイド培養法における肝機能発現レベルを初代ブタ肝細胞、初代ヒト肝細胞およびヒト肝芽腫由来細胞株であるHepG2、C3Aと比較した。その結果、培養空間体積あたりでの機能発現レベルは初代肝細胞の約1/3、ヒト肝由来細胞株と同等の値を示した。分化誘導条件の最適化によりさらなる機能向上も見込めることから霊長類ES細胞へのオルガノイド培養法の適用はヒト臨床用人工肝臓開発における細胞源確保の課題を解決する有望な手段であることが示された。
2.ES細胞から肝細胞への分化誘導過程における肝細胞の割合の定量評価に取り組んだ。まずオルガノイドから酵素処理法によって分散細胞を調整する手法を確立した。次の肝細胞特異的に発現するタンパク質をマーカーに免疫蛍光染色を行い、パーソナルセルファンクションアナライザーによってマーカー陽性細胞の割合を定量的に解析することに成功した。本手法の確立によりオルガノイド内部の種々の特異的細胞集団の定量評価が可能になるとともに、分化誘導法の最適化のための有望な評価手段となることが期待される。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (9件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 肝細胞オルガノイドを利用したハイブリッド型人工肝臓2006

    • 著者名/発表者名
      中澤浩二 他
    • 雑誌名

      再生医療 Vol.5 Suppl

      ページ: 88

  • [雑誌論文] Differentiation effects by the combination of spheroid formation and sodium butyrate treatment in human hepatoblastoma cell line (Hep G2): a possible cell source for hybrid artificial liver2005

    • 著者名/発表者名
      J.Fukuda et al.
    • 雑誌名

      Cell Transplantation 14

      ページ: 819-827

  • [雑誌論文] Evaluation of a hybrid artificial liver module with a hepatocyte organoid2005

    • 著者名/発表者名
      H.Mizumoto et al.
    • 雑誌名

      The International Journal of Artificial Organs 28

      ページ: 197

  • [雑誌論文] 人工臓器開発における化学工学の役割2005

    • 著者名/発表者名
      水本博 他
    • 雑誌名

      ケミカルエンジニヤリング 50

      ページ: 688-693

  • [雑誌論文] 最新医療を支える成形加工技術の現状2005

    • 著者名/発表者名
      中澤浩二 他
    • 雑誌名

      プラスチックス 56

      ページ: 147-152

  • [雑誌論文] ハイブリッド型人工肝臓の開発におけるこれまでの到達点と今後の課題2005

    • 著者名/発表者名
      水本博 他
    • 雑誌名

      人工臓器 34

      ページ: S-25

  • [雑誌論文] 肝不全ラットを用いた中空糸/オルガノイド型人工肝臓の性能評価2005

    • 著者名/発表者名
      青木健太朗 他
    • 雑誌名

      人工臓器 34

      ページ: S-133

  • [雑誌論文] PUF/スフェロイド型人工肝臓モジュール内でのES細胞の肝細胞への分化誘導2005

    • 著者名/発表者名
      松本欣也 他
    • 雑誌名

      人工臓器 34

      ページ: S-155

  • [雑誌論文] 中空糸/オルガノイド培養法によるES細胞から肝細胞への分化誘導技術の開発2005

    • 著者名/発表者名
      野田康一 他
    • 雑誌名

      化学工学会第37回秋季大会研究発表講演要旨集

      ページ: W036

  • [図書] 生体工学概論(6.2節 人工臓器工学)2006

    • 著者名/発表者名
      水本博 他
    • 総ページ数
      237
    • 出版者
      コロナ社
  • [図書] 化学工学シンポジウムシリーズ79 診断・治療システムにおける化学工学(第3部3.1)2006

    • 著者名/発表者名
      青木健太朗 他
    • 総ページ数
      124
    • 出版者
      化学工学会

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi