研究課題/領域番号 |
16206079
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
梶原 稔尚 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10194747)
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研究分担者 |
水本 博 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90346817)
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (00304733)
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キーワード | ES細胞 / オルガノイド / 分化誘導 / 肝細胞 / 中空糸 / ハイブリッド型人工肝臓 / 再生医療 |
研究概要 |
1.前年度の検討において確立した中空糸/オルガノイド培養法によるES細胞の肝細胞への分化誘導について、霊長類ES細胞であるサルES細胞(カニクイザルES細胞:アサヒテクノグラス社)を用いた検討を行った。サルES細胞は分散状態では増殖能および分化誘導のトリガーとなる胚様体の形成率が著しく低下するといわれているが、オルガノイド培養法の適用により、旺盛な増殖能を示し4×10^8cells/cm^3の高密度培養を達成した。一方肝機能評価としてアンモニア除去能を評価した結果、特別な分化誘導因子を添加することなく機能の発現が認められた。マウスES細胞において効果が示された分化誘導因子については明確な効果は認められず、サルES細胞を用いた条件下で最適化する必要性が示された。次にサルES細胞を用いたオルガノイド培養法における肝機能発現レベルを初代ブタ肝細胞、初代ヒト肝細胞およびヒト肝芽腫由来細胞株であるHepG2、C3Aと比較した。その結果、培養空間体積あたりでの機能発現レベルは初代肝細胞の約1/3、ヒト肝由来細胞株と同等の値を示した。分化誘導条件の最適化によりさらなる機能向上も見込めることから霊長類ES細胞へのオルガノイド培養法の適用はヒト臨床用人工肝臓開発における細胞源確保の課題を解決する有望な手段であることが示された。 2.ES細胞から肝細胞への分化誘導過程における肝細胞の割合の定量評価に取り組んだ。まずオルガノイドから酵素処理法によって分散細胞を調整する手法を確立した。次の肝細胞特異的に発現するタンパク質をマーカーに免疫蛍光染色を行い、パーソナルセルファンクションアナライザーによってマーカー陽性細胞の割合を定量的に解析することに成功した。本手法の確立によりオルガノイド内部の種々の特異的細胞集団の定量評価が可能になるとともに、分化誘導法の最適化のための有望な評価手段となることが期待される。
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