研究課題/領域番号 |
16206087
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
冨田 宏 独立行政法人海上技術安全研究所, 実海域性能評価PT, 専門研究員 (60373411)
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研究分担者 |
木下 健 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70107366)
山口 一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20166622)
林 昌奎 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (70272515)
川村 隆文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80334324)
早稲田 卓爾 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30376488)
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キーワード | Freak Wave / 異常波浪 / 非線形波動モデル / 数値水槽 / 風波直接シミュレーション |
研究概要 |
海洋において突然出現する巨大波浪(Freak/Rogue Wave)は大型船舶や海洋構造物の重大損傷、中小船舶の喪失を引き起こす極めて危険な現象として近来世界的にその発生機構の解明や発生頻度の推定に関する研究が注目されている。本課題研究においては先ずフリーク波がどのような波として実海域に出現するのかについて既存のデータや海員等の実体験をもとにフリーク波の特異性について共同研究者ならびに関係者によって組織されたフリーク波研究会において引き続き定期的に議論を行い、共通認識を深めた。さらに今年度はフリーク波や関連現象に興味を有する数学、数理物理学、海洋学、船舶・海洋工学、土木工学等諸分野の研究者に呼びかけ、九州大学応用力学研究所においてシンポジウム「海洋巨大波の実態と成因の解明」を開催し、異分野間の交流を深め研究の進捗に多大な刺激を与えた。 その議論を踏まえて、2次元的な長い峰を持つ場合についてはうねり等に適用出来ると言われている非線形波動理論、就中、非線形シュレディンガー方程式を基礎とした理論的研究をさらに詳細に行い、ストークス波の不安定によって生じるBenjamin-Feir Instabilityといわれる現象について2次元水槽実験ならびにこれをモデル化した完全非線形数値水槽プログラムを構築して両面から巨大波の発生を確認し、海洋における波群特性の重要さに対する認識を確立した。またこれらの極限的な解としてのBreatherと呼ばれる現象に着目し、これをフリーク波の有力なモデルと考えて研究を進めている。この結果は船舶試験水槽における曳航模型船に対する波浪荷重の推定実験の入力データとして提供された。数値水槽については今後のさらなる利用に鑑み、長時間かつランダムなスペクトルを有する海面に適用することが出来るようなプログラムコードの作成を完了した。 より一般の方向性を有する巨大波についてはこれを実海域における人工衛星リモートセンシングから確認する必要があるためそれを可能とするデータ解析アルゴリズムの開発を引き続き行っている。このための組織的な実験を水槽に再現された風波にマイクロ波を放射することによって行い、大量の有益なデータを得ることが出来た。さらに散乱データに大きな影響を与える要素である海上風とそれによる表面誘起流れの様子を子細に調べるためにCFD手法に基づく海面での大気-海洋相互作用シミュレーション計算を行い初期風波発生に関する重要な結果を得ることが出来た。この種のシミュレーションが本格化すれば100年来の海洋学の未解決な大課題である風波の発生機構にも解決を与えることが可能であると期待される。
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