研究概要 |
温度応答試験地中熱を用いたおよび冷暖房実験の実施 九州大学箱崎キャンパス内に深度50mの熱交換井2本を掘削し、様々な条件下での温度応答試験を実施した。試験中は光ファイバー温度計を用いて温度測定を行い、地層の不均質性や地下水流れが熱交換挙動に与える影響を検討した。また,H17年度夏期及び冬期は地中熱を用いた冷暖房実験を長期間行い,地中熱交換井における温度変化や長期採熱挙動などを測定した。 佐賀県唐津市では深度50mの熱交換井1本および水位観測井1本を掘削し,水位観測井では単一孔法を用いた地下水流向流速測定を実施した。熱交換井では光ファイバー温度計を用いた温度応答試験を実施し,地層の不均質性を考慮した解析を行った。水位観測井には水位計を設置して長期的な水位変動をモニタリングし,熱交換プロファイルと地下水位の関係を調べた。 岩盤冷却による冷熱蓄熱技術の開発 緑色凝灰岩採石跡の地下岩盤中に開削された矩形空間の左右両垂直面と平行に岩盤中に掘削した水平坑井にヒートポンプで冷却した冷却水を循環させ,空間特性の実証試験を実施し,0〜2℃の冷蔵空間を実現できることが明らかになった。 筑紫平野における地中熱利用の可能性の検討 筑紫平野における地中熱利用適地の選定を目標として、同平野において国および自治体が管理する深井戸、民生用浅井戸などにおいて、採水・温度測定・水位測定などを実施した。採取した地下水サンプルは一般溶存成分・同位体などの化学分析を行い,結果を筑紫平野における地下水流動系の推定に用いた。採取された種々のデータを用いて広域的な地下水流動系モデルを作成した結果,筑紫平野における地下水温度・流向流速の推定が可能となった。今後は地下水流動系モデルを用いて,冷房可能ポテンシャルの分布を筑紫平野内で推定する予定である。
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