研究課題/領域番号 |
16207003
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島崎 研一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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研究分担者 |
土井 道生 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助手 (00167537)
木下 俊則 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (50271101)
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キーワード | 気孔 / フォトトロピン / 葉の横伸展 / 青色情報伝達 / 成長 |
研究概要 |
植物の成長に及ぼす青色光の効果をシロイヌナズナの変異体を用いて詳細に調べた。まず、光合成のライトカーブを書いた。赤色光で照射を行い光合成炭酸固定反応を測定すると光補償点が約20μmol/s/m^2であった。フォトトロピンの働きは光強度が弱い方が著しいと考え、弱い光として25μmol/s/m^2の赤色光を生育実験に選択した。この条件でシロイヌナズナの生育を測定した。以下の結果が得られた。 1.赤色光に加えて、0.1μmol/s/m^2の青色光を与えると、約5週間の生育により生重量の3倍の増加が認められた。しかし、この増加はフォトトロピンの二重変異株では認められなかった。さらに、phyAphyB、cry1cry2二重変異体でもこの青色光の効果が認められた。この結果は、青色光による成長促進がフォトトロピンの働きである事を示している。 2.この青色光(0.1μmol/s/m^2)の効果はphot1を欠いたphot1とphot1phot2では見られなかった。しかし、1μmol/s/m^2の青色光を当てるとphot1を欠いた変異株でも成長促進が認められた。この事実から弱い青色光に対してはphot1が反応し、やや強い青色光に対してはphot2が反応し、成長を促進すると推定される。 3.次に、成長に必要な光として80μmol/s/m^2の赤色光を当てておくと、同様な弱い強度の青色の光によって成長促進が認められたが、その効果の程度は30%程度であった。これはフォトトロピンの成長促進効果が弱光条件で著しい事を示している。 以上の結果は、光の弱い環境条件で、フォトトロピンは青色光に反応して、光屈性、葉緑体運動、気孔開口、さらに、葉の横伸展を誘導し、これらの反応が協調して、光補集効率、ガス交換などを促進し、植物の成長を増加させていることを示している。
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