研究分担者 |
片倉 晴雄 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (40113542)
高橋 英樹 北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
齋藤 裕 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (20142698)
矢部 衛 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 助教授 (80174572)
柁原 宏 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (30360895)
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研究概要 |
1.単離培養を試みた26株の土壌繊毛虫のうち、培養系の確立に成功した5株からOxytricha granulifera, O.auripunstata, Sterkiella histriomuscorumを同定した。株4は未記載種Anteholosticha sp.であった。 2.土壌性鞭毛虫類は、ゴニオモナス類1株、ケルコゾア類4株、黄金色藻類38株、キネトプラスト類34株の培養株の確立に成功。形態観察と18Sr RNA遺伝子による分子系統解析を行った。ケルコゾア類はCercomonas1種とThaumatomonas1種、黄金色藻類では3種類を認識した。3種は形態的にはSpumellaに類似していたが系統的にはそれぞれかけ離れていた。Boenigk et al.(2005)は土壌性の黄金色藻類は単系統群だと述べているが、本研究によって土壌性黄金色藻類はより多様であることが明らかになった。キネトプラスト類はすべてBodo類に属するが、所属する属については現在検討中。 3.有殻アメーバは海岸植生の土壌から1種50個体程を見出し、光学・走査型電子顕微鏡で精査した結果、Cyclopyxis属(Deflandre, 1929)の未記載種と考えられた。Single-cell PCR法を用いて、SSUrRNA遺伝子解析中。 4.トビムシ類は12地点から7科45種が得られた。 5.ササラダニ類は35科58種を記録。うち2種は未記載種で1種はHermannia shimanoi Aoki,2006として記載され、もう一種は準備中。 6.維管束植物相は300点以上の標本を作成し、約130種リストアップ。館脇により報告されていたが証拠標本のなかった希少種トモシリソウを確認した。これまで根室周辺のみに分布していた種で、分布西限の可能性がある。分布地点が限られるエゾヒメアマナも確認した。 7.植物上から発生するダニ類は、ハダニ科3種、ヒメハダニ科1種、コハリダニ科1種,カブリダニ科6種を採集。植物ダニ相はかなり貧弱と認められた。特に、ササでスゴモリハダニ種群がまったく採集されなかったのは意外。 8.土壌表層ダニ類は7科12属14種を記録。そのうち、ヤドリダニ科のParasitus kimpersi Oudemans, 1902、キツネダニ科のVeigaia cervus(Kramer, 1876)、コシボソダニ科のRhodacarellus silesiacus Willmann, 1935は本邦初記録であった。3種もの本邦未記録種が確認されたのは、小さな島としては異例かも知れない。
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