研究課題
本年度は下記の3点に焦点を当て、研究を進めた。1.染色体構造を調節する複合体群の機能調節の分子メカニズムの解明:細胞種特異的あるいは疾態特異的なゲノム発現制御には、いずれも転写制御因子及び転写共役因子自身の機能調節が知られている。アセチル化、ユビキチン化などの各種タンパク修飾によって機能調節される例が報告されているが、染色体構造調節複合体の構成因子のタンパク修飾による機能調節は全く不明である。そこで、既知核内受容体コアクチベーター(p160、p68/p72ファミリー)を用い、各種培養細胞での他の複合体構成因子を同定した。2.組み換えヒストンタンパク群を用いたヌクレオソームの再構築系の確立:HeLa細胞やショウジョウバエ胚核抽出液より調節したヒストンタンパク群は、既にアセチル化、メチル化等の修飾を受けているため、当該複合体や因子の転写制御能や染色体構造調節能は、これら修飾による影響の可能性は排除できない。そこで、各ヒストンタンパク(少なくてもH3、H4)を大腸菌内で大量に発現させた組み換えタンパクを用い、無修飾ヒストンにより構成されるヌクレオソーム系の構築を検討している。3.修飾化ヒストンと染色体構造調節因子複合体群の相互作用の解析:転写制御因子の染色体DNA上での特異的領域や配列の認識は、転写制御因子の結合部位周辺のヒストンタンパクの修飾が目印となる仮説が提唱されているが、アセチル化、メチル化、リン酸化等のヒストンタンパクの修飾によって、如何なる種類の複合体が獲得され、標的複合体構成因子のどのタンパクモチーフが直接結合するかは不明である。そこで、修飾される可能性のあるリジン残基を始めとした他のアミノ酸残基をアラニン等の非修飾アミノ酸に置換したヒストンタンパク点置換変異体群(特にH3、H4のN末端領域の修飾に力点を置く)を用いた人工ヌクレオソームを構築し、当該複合体の染色体構造調節能、転写制御能を解析した。
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