研究課題
基盤研究(A)
細胞への脂質供給を担うリポ蛋白質レセプターは脂質代謝のレギュレーターとして機能し、その遺伝子異常は生理機能の破綻を引き起こす。リポ蛋白質レセプターファミリーに属すLRP5はWntのレセプターでもあり、脂質代謝以外にも多く多様な生命現象に関与することが明らかとなっている。また、連鎖解析からLRP5の遺伝子異常が、ヒトの骨粗鬆症(D111Y、G171Rなど)、家族性滲出性硝子体網膜症(T173M、C1361Gなど)、高リポ蛋白質症(Q89R、A1330V)の発症に関与することが明らかとなっている。近年、I型糖尿病の原因遺伝子座であるIDDM4(Insulin Dependent Diabetes Mellitus 4)がLRP5領域に位置することが報告されたが、LRP5のどこに遺伝子異常があるか明らかにされていない。そこで、本研究では、I型糖尿病患者から得られたDNAのExon12とExon14の全塩基配列を解析したが、塩基配列の異常を見出すことは出来なかった。現在、その他のExonの塩基配列の解析を行っている。また、リポ蛋白質レセプターファミリーに属すApoER2は脳の代謝に関与することが知られている。そこで、日本人の孤発性アルツハイマー病患者のアポER2遺伝子の多型性について検討を行い、7つの遺伝子多型を明らかにした。2つは5'非翻訳領域とエクソン1のトリプレソト反復の多型,他の2つはアポER2蛋白質のアミノ酸置換を引き起こす多型、残り3つはコーディング領域中のミスセンス変異の多型であった。
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