研究分担者 |
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (50125712)
近藤 徳彦 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70215458)
上田 博之 大阪信愛女学院短期大学, 人間環境学科, 教授 (00203448)
平田 まり 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (90173244)
久保田 豊司 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (10186455)
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研究概要 |
本研究では熱放散反応の発育・老化過程を全身協関的視点から検討した.10年間の縦断的検討および横断的検討結果から,熱放散反応は老化に伴い皮膚血流量→単一汗腺あたりの汗出力→活動汗腺数と順次低下し,その一連の加齢的低下は全身同等ではなく,下肢→躯幹後面→躯幹前面→上肢→頭部と順次進行することが見出された.さらに,異なる3種のテストで検討された皮膚温度感受性,発汗中枢の活動性,アセチルコリン誘発性の軸索反射性および直接性発汗の結果から,機序面からみても皮膚の温度感受性(入力)→効果器(汗腺それ自体)→交感神経系・体温調節中枢,と順次老化することが推察された.次に,下肢温浴と膝伸展運動時の大腿動脈血流量と皮膚血流量などの結果から,大腿における皮膚血流量からみた末梢循環の老化が動脈血流量からみた中心循環の老化より先行することが示唆された.また,暑熱環境下でのアイソメトリックハンドグリップ時のデータから,非温熱性熱放散反応も老化に伴い鈍化し,その鈍化は発汗反応よりも皮膚血管反応で,さらに他の部位より大腿(筋の代謝受容器からの入力に対する応答)で顕著であることが観察された.このことは,非温熱性熱放散反応の老化過程も上述した温熱性熱放散反応の老化過程と類似することを示唆する. 夏季スポーツ活動時の総発汗量と直腸温データから,思春期前児童は未発達な発汗機能を有することが再確認された.さらに,環境温度が漸次上昇する条件下の各種データから,思春期前児童は皮膚温より環境温が高くなると,体格特性(大きな体表面積/質量比)による熱獲得の増加や未発達な発汗機能に起因して生体負担度が若年成人より大きくなることが明らかにされた.また,筋の代謝受容器からの非温熱性入力に対する熱放散反応は思春期前の子どもでは未発達であり,その傾向は皮膚血管反応より発汗反応で顕著だった.この非温熱性熱放散反応に観察された子どもの特性は,上述の温熱性熱放散反応の発育特性に類似することが示唆された.
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