研究概要 |
イネの変異原処理M2集団から新たなシュート変異体のスクリーニングを行った結果、単因子劣性と思われる20-30系統の変異体が得られた。詳細な解析は来年度行う。葉序の変異体であるdecのアリルと思われる変異体を得ることができた。ファインマッピングを進めているが、まだ遺伝子を特定できていない。葉間期の変異体である、pla1,pla2,pla3の解析は順調に進み、いずれの変異体でも葉間期が短くなるだけでなく、葉が早期に成熟することがわかった。このことは、葉原基の分化速度と葉の成熟速度が密接に関連している可能性を示している、pla2の原因遺伝子をポジショナルクローニング法により単離したところ、RNA binding proteinをコードする遺伝子で、トウモロコシのterminal ear 1(te1)のオーソログであった。te1の種子の分譲を受け、表現型の比較をしたところ、必ずしも同一の表現型を示さず、両者の機能は異なっている可能性が考えられた。現在相補性試験と発現解析を進めている。 葉のパターン形成に関して、向背軸性が異常となるadl1のクローニングを進めた結果、calpain様タンパクをコードしていた。現在相補性試験と発現解析を進めている。同様の表現型を示すadl2に関しては、ADL2/adl2 x KasalathのF2種子が得られたので、現在ファインマッピングを進めている。葉の左右性の変異体であるlsyについては、表現型の解析はほぼ終了し、論文にした。 植物体の多面的な異常(細葉、葉身の屈曲、維管束の減少、根の重力屈性異常、則根の減少)を示すfib変異体は、オーキシンの極性輸送や感受性の異常も示した。現在オーキシンの定量を進めている。原因遺伝子単離に関しては、ファインマッピングを進め、近々原因遺伝子を特定できるところまで進んでいる。
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