研究分担者 |
石川 幸男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60125987)
星崎 杉彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
本田 洋 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (90126160)
吉安 裕 京都府立大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90038315)
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研究概要 |
1.アワノメイガ属の種・系統分化に関する研究 (1)ウスジロキノメイガ種群の共生細菌:2種の同胞種,ウスジロキノメイガ(LAT)とマルバネキノメイガ(OVL)について,同属の一部で見つかった共生細菌Wolbachiaの感染実態を比較した.OVLでは高率での感染が見られたが,LATは全てが非感染だった.遺伝子解析の結果OVLの菌は,同属種で見られる菌と同一であると示唆されたが,同属種で細菌によって生じる性比バイアスがOVLでは観察されなかった. (2)アワノメイガ種群の性フェロモンの受容と生合成系:アズキノメイガ(SCA)オスから,複数のフェロモン受容体遺伝子候補をクローニングした.アワノメイガ(FUR)とヨーロッパアワノメイガ(NUB)メスから成分の比率決定に機能する脂肪酸-CoA還元酵素の遺伝子をクローニングし,発現の組織特異性を調査中.SCAメスからフェロモン分子に2重結合を導入するΔ11-不飽和化酵素の遺伝子をクローニングし,発現がメス腹部末端節間膜背側の細胞群に特異的であることを示した. (3)アワノメイガ種群のオス超音波求愛歌の比較:3種のオスが発する超音波求愛歌の音響解析を行ない,種間差を調べた.FURでは3つ以上のパルスが,SCAとNUBでは2つのパルスが1群を構成していた. 2.ニカメイガのイネ系統(R)とマコモ系統(W)の分化に関する研究 (1)交尾器形態の差異:両系統にはサイズ以外の形態的差異はないと言われていたが,オス交尾器各部の長さを測定し多変量解析を行なったところ,プロポーションに有意な差異が存在することが明らかになった. (2)性フェロモンの生産量と感受性:メス性フェロモンの含有量はサイズの小さなRのほうがWよりも数倍多かった.また,オスの感受性をEAG法で測定したところRのほうがWよりも大きな応答を示した.
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