研究課題
1)イソキノリンアルカロイド生合成系において未同定の生合成酵素遺伝子の解析をさらに進めた。ノルコクラウリン合成酵素(NCS)に関しては、ほぼ同定を完了していたが、NCSとして報告されたPR10遺伝子の機能についての解析を改めて行ない、オウレンPR10も極めて類似した反応を行なうこと、しかし、基質特異性等から判断して、オウレンのNCSはdioxygenase様遺伝子であることを再度確認した。また、残る未同定遺伝子のうち、テトラハイドロイソキノリンオキシダーゼに関して、その候補遺伝子の全長cDNAをハナビシソウ細胞において過剰発現させることにより、その活性を検出することに成功した。2)ハナビシソウのBBE遺伝子の発現抑制により、野生型の培養細胞ではほとんど認められなかった中間物質レチクリンの蓄積と、レチクリンからの新たな代謝活性の誘導が生じることを既に明らかにしていたが、より特異性の高いBBEの発現抑制を行なうために、37bpを標的配列とする複数のRNAiベクターを新たに作製し、同ベクターが有効であることを明らかとした。現在、配列特異性についてさらに詳細に解析するとともに、同手法を他の生合成酵素に適用し、新たな代謝改変細胞を作製した。また、O-メチル化酵素(OMT)の機能解析を進め、イソキノリンアルカロイド生合成系において、60MTが4'OMTから進化してきた可能性を示唆する結果を得た。3)オウレンのイソキノリンアルカロイド生合成系に関わる転写制御因子として単離したWRKYならびにbHLH遺伝子の機能を一過的過剰発現系を用いて解析し、WRKY遺伝子の過剰発現により生合成遺伝子が包括的に正に制御されること、一方、bHLH遺伝子の場合には、包括的に制御しているが、その作用は単純でないことを明らかとした。現在、安定形質転換体を作製し、その転写制御機構について検討を進めている。
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