研究課題
基盤研究(A)
本研究は、日本全国で統一基準に従った混獲投棄調査を実施し、日本の漁業における投棄量を推定するとともに、国連世界農業食糧機構(FAO)と連携して、世界の漁業の投棄量評価に資することを目的としている。研究分担者は、今年度、全国の各自分担地区で投棄量乗船調査を実施してきた。北海道・東北水域では、刺し網、底延縄、定置網、イカ釣りの各漁業の、本州水域では刺し網、マグロ延縄、カニ籠、定置網の各漁業の、九州水域では施網、定置網、打たせ網、バッチ網の各漁業の、内海水域では東京湾の小型底曳き網、あなご筒、定置網、刺し網と瀬戸内海の小型底曳き網の各漁業の調査が行われている。対象漁業に一二の変更はあるものの、ほぼ計画通り調査が行われている。これらで、日本全国の主要な沿岸漁業種の投棄実態がほぼ明らかになる予定である。本事業の研究者らは、日本水産学会漁業懇話会の下に混獲投棄研究グループを形成しており、このグループのメイリング・リストを通じた活動で、本統一研究には科学研究費分担研究者以外の研究者も参加し始め、研究の広がりを見せている。刺し網漁業(本州水域)、マグロ延縄漁業、カニ籠漁業などの調査はそういった研究者の手で行われているものである。本事業の研究者らは、平成17年2月27日〜28日に北海道大学水産学部で研究経過報告会を開催した。会には、分担研究者全員に加えて、上記の賛同研究者も含めて約30名の参加があった。個々の研究成果の検討を通じて、投棄量推定用パラメータ資料の収集ができた。同時に、「全国投棄調査規準」の改訂版を作成することができた。本研究はアジア各国の研究者とも協力しつつ行っており、2年目の平成17年度後半には、韓国、フィリピン、台湾、タイ、インドネシアなどの研究者を招聘した研究会を開催し、統一規準の共有化を進め、資料の互換性を高める予定である。1年目の研究で、全国統一調査の体制ができたことで、これらのことが実現できる目途がついた。