研究課題
昨年度に引き続き、研究分担者は全国の各自分担地区で投棄量乗船調査を実施した。調査対象漁業種には昨年から引き続くものと本年度新たに開始したもの両者があった。北海道・東北水域では、刺し網、エビ籠、サケ定置網、本州水域では刺し網、カニ籠、定置網、九州水域では施網、定置網、打たせ網、バッチ網、内海水域では東京湾の小型底曳き網、アナゴ筒、定置網、刺し網と瀬戸内海の小型底曳き網の各漁業の調査が行われた。本事業の研究を基礎に、平成17年11月11日〜12日、鹿児島大学水産学部で研究経過報告会を兼ねた国際セミナーを開催した。セミナーには分担研究者全員に加えて、米国、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、タイ、中国、ペルー、ガボン、セネガル、ツバル、トルコの13ヶ国と、SEAFDEC、ICESの2国際機関から約100名の参加者を得た。個々の研究成果の発表・検討を通じて、投棄量推定用パラメータ資料を収集するとともに、「全国投棄調査統一規準」のさらなる深化を図ることができた。当初計画に比して、漁業種に若干の変更はあるものの、ほぼ計画通り調査が行われたと評価する。本事業の研究者らは、日本水産学会漁業懇話会の下に混獲投棄研究グループを形成しており、このグループの活動を通じて、本研究には科学研究費分担研究者以外の研究者も参加し始め、研究の広がりを見せている。マグロ延縄漁業、中型施網漁業などの調査がそうした研究者の手で行われた。上記セミナーへの参加者に見られる通り、本研究は東・東南アジア各国の研究者とも協力しつつ行っており、国内調査のために定めた統一基準は、アジア各国・国際機関の研究者にも域内統一規準として説明され受け入れられつつある。研究は順調に進展しつつあると評価できる。
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日本水産学会漁業懇話会会報 No.50
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