研究課題
代表者以下9名の研究者は、平成17年11月11日〜12日に鹿児島大学水産学部で開催した、研究経過報告会を兼ねた国際セミナーでの議論とそこで確認された研究方針を元に、野外調査の継続、論文執筆に取り組んで来た。研究対象としているのは、昨年度までに引き続き、全国の各自分担地区での主要漁業種とした。北海道・東北水域では、刺し網、エビ籠、サケ定置網、本州水域では刺し網、カニ籠、定置網、九州水域では施綱、定置網、打たせ網、バッチ網、内海水域では東京湾の小型底曳き網、アナゴ筒、定置網、刺し網と瀬戸内海の小型底曳き網の各漁業の調査が行われた。平成18年度末の水産学会を利用した最終確認では、すべての分担研究者が担当漁業種について、投棄量推定用パラメータを評価できるだけの資料を収集するとともに、「全国投棄調査統一規準」に則ったパラメータ推定ができる段階に達していることが分かった。現在、研究総括の報告書を編集中であり、数週間以内に刊行可能である。当初計画に比して、漁業種に若干の変更があり、総括報告書の刊行に若干の遅れはあるものの、ほぼ計画通りの調査研究が行われたと評価する。本事業の研究者らは、日本水産学会漁業懇話会の下に混獲投棄研究グループを形成しており、本研究の結果は同グループで共有されることになる。今後は、このグループの活動として、今回得られた主要漁業種における混獲投棄推定パラメータを用いて、日本全国の年間混獲投棄量の推定が本年度中に行われる予定である。この結果をFAOに送付するとともに、国内外に対策技術およびそのための研究の方向性を提案していく予定である。本研究には、その途中から東アジア・東南アジア各国の研究者の参加も多く見られるようになり、国内調査のために定めた統一基準は、アジア各国・国際機関の研究者にも域内統一規準として説明され受け入れられつつある。研究は順調に発展しつつあると評価できる。
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日本水産学会誌 72・5
ページ: 894-904
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